イランで「レイプ犯」殺害の女性を処刑 国際社会が非難の声
(CNN) イランで元情報省職員の男性を殺害したとして死刑を言い渡されていた女性、レイハネ・ジャバリ死刑囚(26)の絞首刑が25日に執行された。ジャバリ死刑囚は元職員から性暴力を受け、正当防衛で刺したと主張していた。
事件が起きたのは2007年。国連によると、ジャバリ死刑囚は当時、インテリア・デザイナーとして元職員の事務所を担当していた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(AI)によれば、ジャバリ死刑囚は捜査の初期段階で元職員の背中を刺したことを認める一方、元職員がジャバリ死刑囚に性的暴行を加えようとしていたと主張。犯行現場の家にいたもう1人の人物が殺害に関与したとも語ったが、適切な捜査は行われなかった。ジャバリ死刑囚は逮捕後2カ月間、弁護士や家族と接触できないまま独房へ入れられ、拷問を受けたという。
刑の執行は当初、9月30日に予定されていた。イラン国内でも著名な芸術家やミュージシャンから処刑中止を求める声が上がっていた。
米国務省のサキ報道官は25日、裁判や捜査に重大な問題があったとして死刑執行を非難する声明を発表。英国のエルウッド中東担当相も「大きな懸念と悲しみ」を表明した。
人権団体などによると、イランでは昨年のロハニ大統領就任以降、死刑執行が急増している。国連のアフマドシャヒード人権特別報告官は声明で「このような行為はイランと国際社会との信頼醸成を妨げる。イランには刑執行の全面的な中止を求める」と述べた。