中国軍機による米軍機への危険な威嚇飛行が減少、米国防総省

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中国軍機による危険な行動を捉えた画像や動画を米国防総省が昨年10月に公表していた/Office of the Secretary of Defense Public Affairs

中国軍機による危険な行動を捉えた画像や動画を米国防総省が昨年10月に公表していた/Office of the Secretary of Defense Public Affairs

(CNN) 南シナ海上空などで目立っていた中国軍機による米軍用機に対する危険な接近や威嚇飛行がこのところ減じていることが4日までにわかった。2人の米国防総省当局者がCNNに明らかにした。

改善の兆しが見える米中関係が背景要因とみられる。中国軍機によるこの種の行動は昨年10月には大幅に増えていたが、同月以降には重大な事態はこれまで起きていないとした。

同当局者によると、最後の牽制(けんせい)飛行などは同月24日、南シナ海上空を飛んでいた戦略爆撃機「B52」に対して行われ、約3メートル内にまで迫ってきていた。米インド太平洋軍によると、この中国軍機は「危険かつ職業軍人の規範に背く」飛行を示し、「抑制がきかない過剰な速度」で接近してきたという。

米国防総省は当時、中国軍機による危険な飛行などは増えていると報告。これらの飛行は過去2年余で180件以上を記録し、過去10年に起きた総数を上回ったとも指摘していた。

ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は南シナ海などで米国の作戦行動に変化を強いることを狙った「集中活動」とも評していた。

ただ、10月24日以降の2カ月になるとこれらの危険飛行は減少基調に転じた。米国防総省当局者によると、中国軍の南シナ海や周辺地域での活動は依然続いていた中で減っていたという。

米中関係に関しては、バイデン米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が昨年11月、米サンフランシスコ市近郊で会談。その1カ月後には、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長と中国軍の劉振立・連合参謀部参謀長の電話会談が続いた。統合参謀本部議長室が出した電話会談の骨子によると、両氏は「開かれた形での直接的な意思疎通」の必要性について話し合ったなどとした。

中国軍機による米軍機に対する牽制(けんせい)飛行などは減ったものの、中国の軍事力増強や拡大する核戦力へのより広範な懸念の緩和につながるわけではない。米国防総省は昨年10月、中国が保持する運用可能な核弾頭数は500発以上と以前の予測を上回る規模で増えているとの報告書を公表。軍備の近代化を進める中で、米本土に到達し得る通常兵器型の長距離ミサイルを開発する可能性を探っているとの見方も出された。

南シナ海では、米国の密接な同盟国であるフィリピンとの間で環礁などの領有権をめぐる対立が先鋭化してもいる。自国の領土の一部と主張する台湾問題でも中国は譲る気配を一切見せていない。習主席は先週、「中国との統一は不可避」とも主張していた。

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