トランプ前大統領に対する起訴内容、ポイントを解説

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トランプ氏に対する起訴内容を解説

トランプ氏に対する起訴内容を解説

(CNN) トランプ前米大統領が米国の大統領経験者として初めて刑事事件で正式起訴された。ニューヨーク州マンハッタン地区検察は、トランプ氏が2016年大統領選に関連する違法行為を隠すためにビジネス記録を改ざんしたと主張している。

アルビン・ブラッグ検事は選挙中に行われた女性らへの口止め料の支払いで捜査を進めてきた。この女性らはトランプ氏との不倫関係があったと主張した一方、トランプ氏は関係を否定している。

4日に公開された起訴状は、トランプ氏が「16年大統領選期間中、自分に不利な情報を有権者から隠す犯罪行為を隠ぺいするため、繰り返し詐欺的にビジネス記録を改ざんした」と記述する。

トランプ氏の罪状はすべて、同氏の一族企業「トランプ・オーガニゼーション」のビジネス記録の具体的な記帳に関するもの。トランプ氏は4日の法廷ですべての罪状を否認した。

起訴状や裁判所提出書面で示された罪状や証拠のポイントを解説する。

選挙に影響するトランプ氏の「違法な」計画が重罪の根拠に

ブラッグ検事がトランプ氏を重罪に問うのか、またどのようにして重罪に問うのかには大きな注目が集まっていた。ビジネス記録の改ざん行為自体は、他の犯罪を犯したり隠したりする意図で行われたと検察側が立証しない限り、軽罪に過ぎない。

起訴状に記載された公訴事実にはブラッグ氏の戦略をほのめかす以上のものはなかったが、同氏の罪状認否後の記者会見では法的な枠組みがより明確に示された。

ブラッグ氏は問題のビジネス記録が17年、前年の大統領選に関連する犯罪行為を隠匿する目的で改ざんされたと語った。同氏によればニューヨーク州法では違法な手段で候補者を有利にする共謀行為は犯罪となる。

ブラッグ氏はトランプ氏を選挙法違反や、疑惑のかけられている選挙運動関連行為に関する共謀では訴追していない。起訴状は34の重罪すべてについて、トランプ氏が「だます意図や、他の犯罪を犯してその実行を支援し隠す意図」を持っていたと記している。

起訴状はさらに、トランプ氏が「16年大統領選に影響を与える」ために、他の人とともに「違法な」計画を練り上げたと指摘。この計画に参加したトランプ氏以外の人物は「計画に関連して違法な行為をした」と認めているとも言及した。

公訴事実では特に、トランプ氏の元個人弁護士マイケル・コーエン氏が18年に起訴された選挙資金関連の連邦刑事訴訟で行った有罪答弁と、タブロイド紙ナショナル・エンクワイアラーの発行会社アメリカン・メディア・インク(AMI)が連邦捜査での不起訴合意の中で認めた内容の二つに言及している。

大統領執務室でトランプ氏とコーエン氏が支払い処理の取り引きを計画と検察主張

起訴書面からは、トランプ氏との不倫関係を主張する女性に対する口止め料支払いの計画がどのように立てられたのかが浮かび上がる。

16年10月、米テレビ番組「アクセス・ハリウッド」収録中のトランプ氏発言が明るみに出た直後、ナショナル・エンクワイアラーの編集長兼最高経営責任者(CEO)はコーエン氏に接近した。ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏がトランプ氏との不倫関係を主張していると伝えたという。コーエン氏は口止め料の支払いについてダニエルズ氏と交渉した。

起訴書面によれば、トランプ氏はコーエン氏に対する口止め料分の払い戻しの支払いを隠し、「法務サービス料」の名目で毎月小切手を切っていたとされる。この取り引きはホワイトハウスの大統領執務室で両人が考案したという。

検察によれば、トランプ氏本人がコーエン氏に払い戻す小切手にサインした。そこにはダニエルズ氏に秘密保持契約への署名と引き換えに支払った口止め料13万ドルも含まれる。

コーエン氏への払い戻しの総額は42万ドルに及び、所得税の偶発債務関連の金額やボーナスも含まれているという。トランプ氏はコーエン氏に対し、1年にわたり毎月3万5000ドル支払うことに同意したとされる。

起訴状には「17年2月初旬に、被告と弁護士Aがホワイトハウス大統領執務室で会い、この払い戻しの取り決めを確認した」と記されている。

ただ、こうした状況の多くは既に公知のものとなっている。コーエン氏は19年の議会証言で3万5000ドル分の小切手の一つを示し、トランプ氏自身がダニエルズ氏への支払いを調整し、立案する役割を担っていたことを裏付けようと試みた。

一部の支払いはトランプ氏の銀行口座から直接実施

検察は毎月コーエン氏に切られた小切手について、一部がトランプ氏の銀行口座からの直接引き出されていたと主張する。トランプ氏とコーエン氏がこれを弁護士費用として偽装したとも主張している。

検察は公訴事実で「各小切手はトランプ・オーガニゼーションによって処理され、報酬契約に基づく17年の特定の月の法務サービス料の支払いとして偽装された」と指摘した。

さらに「トランプ・オーガニゼーションが保存し維持する支払い記録は虚偽のビジネス記録」にあたると指摘。実際には報酬契約は存在せず、「弁護士Aは17年に行われた法務サービスで支払われていたのではない」と述べた。

検察によれば、支払いが会社記録に誤って記されたその態様が、被告の罪状を支える骨格部分となっている。

計画の参加者は支払いを違法と認識していたと検察主張

ブラッグ検事の法理論によれば、ビジネス記録の改ざんを重罪にしているのは、トランプ氏が隠そうと画策したとされる選挙資金に関する連邦犯罪だ。検事によれば、州の選挙法でもこうした計画は違法となる。

計画に参加した人々は2人の女性に対する支払いが違法だったと認めている。

18年後半、AMIはカレン・マクドゥーガル氏への金銭の支払いでも不起訴合意を検察と結んだ。マクドゥーガル氏はトランプ氏との不倫関係にあったとされるが、トランプ氏はこの関係も否定している。

検察はAMIが果たした役割を詳しく説明することで、被告の当選の機会を守る目的で支払いが行われたと陪審団を納得させられる可能性がある。

AMIは当局に対する説明で、実際にはマクドゥーガル氏の話を出版する意図はなく、マクドゥーガル氏にトランプ氏に害となる主張をさせない目的で支払いを行ったと認めている。

検察は公訴事実でコーエン氏の有罪答弁にも言及。答弁では、コーエン氏がトランプ氏に害となる話を口止めするために、トランプ氏の指示でマクドゥーガル、ダニエルズ両氏への支払いを準備したと記述されている。

起訴書面によれば、トランプ氏はコーエン氏にダニエルズ氏への支払いを選挙後まで遅らせるようにも指示した。選挙が終われば話が公になっても問題とならず、支払いをせずに済むかもしれないという理由によるという。

検察はこの指示を重罪の証拠に使う可能性がある。支払いの目的が大統領選に秘密裏に影響を与えることにあり、選挙法に違反するという論法となる。

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