北朝鮮で朽ちゆく世界初の「海上浮遊式ホテル」

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ホテルは元々、オーストラリアのグレートバリアリーフを訪れるダイバーのための豪華施設だった。今は北朝鮮沖にある/Hyundai Asan Corporation
写真特集:世界初の「海上浮遊式ホテル」の盛衰

ホテルは元々、オーストラリアのグレートバリアリーフを訪れるダイバーのための豪華施設だった。今は北朝鮮沖にある/Hyundai Asan Corporation

(CNN) そのホテルはかつて、オーストラリアのサンゴ礁「グレートバリアリーフ」の真上に浮かぶ五つ星の高級リゾートだった。現在、同ホテルは韓国と北朝鮮を隔てる非武装地帯(DMZ)から車で20分の位置に荒れた状態でたたずんでいる。

世界初の海上浮遊式である同ホテルにとって、この場所は約1万6000キロにおよぶ旅の終着点となる。30年あまり前、豪華なヘリ移動や高級料理を提供して始まった旅はしかし、悲劇とともに終わりを迎えた。

華麗な過去を持つこの錆びたホテルは今や解体対象に指定され、不確かな未来に直面している。

珊瑚礁での一夜

海上浮遊式のホテルはダイバーのための短期滞在施設として設計された/Peter Charlesworth/LightRocket via Getty Images
海上浮遊式のホテルはダイバーのための短期滞在施設として設計された/Peter Charlesworth/LightRocket via Getty Images

海上浮遊式のホテルを考案したのはダグ・タルカ氏。同氏はイタリア生まれのプロダイバーで、オーストラリアのクイーンズランド州北東岸タウンズビルに住む実業家だった。

「彼はグレートバリアリーフへの深い愛と理解を持っていた」。そう語るのは、タウンズビル海洋博物館の学芸員ロバート・デヨング氏だ。1983年、タルカ氏は日帰りの観光客を双胴船でタウンズビルから沖合のサンゴ礁まで運ぶ事業を展開するため、リーフリンク社を創業した。

だがその後、「待てよ。サンゴ礁の上で一泊できるようにしてはどうか」と思い付いた。

当初、タルカ氏は古いクルーズ船をサンゴ礁に恒久的に係留する案を考えたが、専用の浮遊式ホテルを設計・建設したほうが安上がりで環境にやさしいことに気付いた。建設開始は86年。今は消滅した米大手製鉄企業の子会社、シンガポールのベスレヘム造船所で作業が行われた。

建設に推計4500万ドル(きょうの価値で1億ドル超=約114億円)を要したホテルは、重量物運搬船でグレートバリアリーフ海洋公園のジョンブリュワー礁まで運ばれた。

「この礁はU字形をしていて、中央に静かな水をたたえているため、浮遊式ホテルに最適だった」(デヨング氏)

ホテルは巨大な7つの錨(いかり)を使い、サンゴ礁を傷つけないような形で海底に固定された。汚水が海に廃棄されることはなく、水は再循環処理され、ゴミは本土の施設まで運ばれた。

「当時は五つ星のホテルであり、決して安くなかった」「176室に350人を収容でき、ナイトクラブにレストラン2軒、研究施設、図書館、ダイビング用品を買う店舗を備えていた、テニスコートまであったが、テニスボールの大半は太平洋に沈んだのではないかと思う」

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