ロシア軍ハッカー、狙いはウクライナ兵使うモバイル機器の作戦情報

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(CNN) 諜報(ちょうほう)機関の情報を提供しあう米英など英語圏5カ国で構成する「ファイブアイズ」は3日までに、ロシア軍ハッカーは戦闘作戦など機微な情報を盗むためウクライナ軍兵士のモバイル機器を狙った工作を仕掛けていると警告した。

新たな勧告の中に盛り込んだもので、盗み取った情報はロシアによるウクライナ侵略を支えている可能性があるともした。

ファイブアイズの他の構成国は、オーストラリア、カナダにニュージーランド。

ウクライナ保安局(SBU)は、ロシアのハッカーたちはウクライナ軍が「戦闘作戦の立案や遂行」のために使っているアンドロイドOSを搭載したタブレットへの侵入を試みているとの報告書を先にまとめていた。ファイブアイズの今回の勧告はこの報告書の内容を補強する形ともなっている。

SBUによると、ロシアのハッカーたちは悪意あるコードを用い、ウクライナ軍兵士によるモバイル機器から人工衛星経由での通信サービス「Starlink(スターリンク)」への通信内容の奪取を図っている。スターリンクは米国の宇宙事業会社「スペースX」が運用している。

CNNは以前、スターリンクの衛星はウクライナ軍が戦場で交わす通信に不可欠な要素になっていると報じてもいた。

ファイブアイズの今回の警告は、サイバー空間で取り扱いに注意を要する軍事データの管理のあり方がウクライナでの戦争で重要な前線と化していることを見せつけもした。

ロシアによるこれらのハッキング活動がどの程度成功しているのかは不明。SBUは一部の不正侵入を「阻止した」と主張しているが、ロシアが戦場で複数のタブレットを「入手」し、悪意あるソフトウエアを植え付けたことも認めた。

サイバーセキュリティー企業「マンディアント」の上位アナリストは、モバイル機器を狙うマルウェア(悪意あるプログラム)は特に狡猾(こうかつ)とし、情報機関に標的の物理的な位置を伝えることが可能と指摘。CNNの取材に、この能力は「戦場で極度の効果」を発揮し得るとも続けた。

ロシアによるハッキング工作は、ウクライナ軍が反転攻勢に踏み切ったものの、進展が遅く、戦いが熾烈(しれつ)さを増す戦況が続く時期と重なってもいる。複数の米政府当局者は内密に、反攻が数カ月経過しても戦場で重要な突破が実現していないことに懸念も示している。

英国の国家サイバーセキュリティーセンターの幹部は声明で、ロシアによるウクライナ軍兵士へのハッキング攻勢は「ロシアがウクライナに仕掛けた不法な戦争がサイバー空間で展開し続けていることを明示している」とも結論づけた。

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