ロシアへの金融制裁、回避がかつてないほど容易に ビットコインの普及受け

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仮想通貨によりロシアが経済制裁を容易に回避する可能性がある/Martin Bureau/AFP/Getty Images

仮想通貨によりロシアが経済制裁を容易に回避する可能性がある/Martin Bureau/AFP/Getty Images

ニューヨーク(CNN Business) 西側諸国が早い段階からロシアに対する金融制裁を声高に叫んでいたにもかかわらず、プーチン大統領によるウクライナへの全面侵攻を抑止することはできなかった。今や米国は懲罰的姿勢を取り、新たな制裁を発動してロシアの金融機関や「腐敗した大富豪」らへの締め付けを強化する方針を示している。

しかし一部の専門家からは、現時点でプーチン氏本人を標的とはしていないこれらの制裁措置について、一段と容易に回避できるものとなっているとの見方が出ている。ロシアで仮想通貨の導入が急激に進んでいることが一因だという。

米国と欧州連合(EU)の制裁は、規制を執行するうえで各金融機関への依存度が極めて高い。制裁対象となった企業や個人がドルやユーロといった従来の通貨で取り引きをしようとした場合、それらに警告を与えて阻止するのは各金融機関の責任となる。

ところがデジタル通貨は標準的な世界の金融システムの外に位置している。取り引きはブロックチェーンと呼ばれる公的なデジタル台帳に記録される。

マネーロンダリング(資金洗浄)に対抗する取り組みの専門家、ロス・デルストン氏は「仮にロシアが暗号通貨以外の通貨を一切使用しないと決断するのであれば(すでにそうしていることは間違いないと思うが)、彼らは事実上すべての制裁をすり抜けることが可能になる」と述べた。

米財務省は問題を把握している。昨年10月の報告書の中で当局者らは、デジタル通貨が「米国による制裁の効果を低減させる恐れがある」と警告していた。問題を起こす動作主体が介入し、従来の金融システムの外での資金取引を可能にすると考えられるためだ。

ブロックチェーンの分析を手掛けるチェイナリシスによれば、ダークネットマーケットとして知られる違法な取り引きに使用されるウェブサイトには2020年、過去最高額となる17億ドル(現在のレートで約1970億円)相当の仮想通貨が流入。大半はビットコインだったという。

しかも同年のダークネットマーケットの成長分は、ほとんどすべてがロシア語に特化した「ヒドラ」と呼ばれる単一のサイトに関連付けられるものだった。ヒドラが世界のダークネットマーケットに占める地位は圧倒的で、チェイナリシスの今月の報告によると20年には世界全体の収益の75%超を計上したとされる。

とはいえ、すべての取り引きが仮想通貨で行えるわけではもちろんない。

例えばロシアが伝統的に輸入してきた食料品などについて、仮想通貨で取り引きするのは難しいとデルストン氏は指摘する。輸出側が日々刻々と価格の変動する仮想通貨での取り引きを受け入れるとは考えにくいためだ。

ロシア経済の大部分を占める石油にしても、米ドル建てで取り引きされている。

またビットコインにせよ他の仮想通貨にせよブロックチェーンで追跡できるので、ロシアの大富豪らが資金を洗浄するのは不可能ではないまでも困難になると、デルストン氏は語る。

一方、ロシアと同様に石油輸出国で長年米国による経済制裁の対象となっているイランは、石油の輸出禁止を受けて余ったエネルギーをビットコインのマイニング(採掘)に活用している。マイニングは膨大な量の電力を必要とするが、そこで得られたビットコインは採掘者への報酬に充てられるほか、輸入品の支払いにも使用できると、分析会社エリプティックの共同創業者、トム・ロビンソン氏は説明する。

同社の推計によれば、イランを拠点とする採掘者によるマイニングはビットコイン全体の4.5%近くを占める。年間にもたらされる収益は10億ドルに迫るとみられる。

経済制裁の影響を少なくとも理論上は軽減できるとして、ロシアがイランの手法を参考にすることも考えられる。

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