Fashion

グイド・パラオが舞台裏で見る バージル・アブローのルイ・ヴィトンデビュー

バージル・アブローがルイ・ヴィトンでメンズウエアのアーティスティック・ディレクターに指名されたとき、多くの疑問が湧き上がった。この米国人デザイナーがブランドをどのように発展させるのだろうかと。そして先月、今シーズンで最も期待を集めたショーで、その答えが見えた。

アブローのデビューはこのブランドの新たな美学を予感させるものとなった。ストリートの影響を上質な仕立てに織り交ぜ、日常の要素をラグジュアリーなアイテムへと変化させた。パーカーをオーダースーツと同じ技術で作り、ジーンジャケットをホワイトミンクから切り出した。

「バージル・アブローがルイ・ヴィトンという威厳あるブランドの舵(かじ)取りを任されたことは、ファッション界にとって極めて重要だ。それは若さとストリートウエアを受け入れることであり、ラグジュアリーや多くの人がエリート志向と捉えるつまらない考えからの脱却を示すからだ」と、ファッションサイト「Hintmag.com」のリー・カーター編集長は語る。

アブローの友人や専門家の集団が生み出すコレクションは、個性と多様性をたたえるものとなっている。そしてそれはヘアディレクションも同じだ。アブローはそれをグイド・パラオに託した。長い間ファッションショーのステージで、ヘアエステティックの定義に大きな影響を及ぼしてきた男に。

スプリング・サマー2019のバックステージ=Courtesy Louis Vuitton
スプリング・サマー2019のバックステージ=Courtesy Louis Vuitton

パラオはこの25年間で、ファッション界で最も人気のヘアスタイリストの一人となった。顧客リストにはヴェルサーチやプラダ、バレンシアガ、イヴ・サンローランといった一流ブランドの名前が並ぶ。パラオの名が初めて知られたのは1990年代。英歌手ジョージ・マイケルの楽曲「フリーダム」のビデオの制作に携わったり、写真家デービッド・シムズとともにグランジの美学を追求して現状打破に取り組んだりしたときだ。カルバン・クラインでのケイト・モスとのキャンペーンや、故アレキサンダー・マックイーンとのタッグも経て、名声はさらに高まっていった。

スプリング・サマー2019=Courtesy Louis Vuitton
スプリング・サマー2019=Courtesy Louis Vuitton

ファッション系ニュースサイト「ウィメンズ・ウエア・デイリー」のスタイルディレクター、アレックス・ベディア氏は、「彼は素晴らしいアーティストであり、最も象徴的な容姿や画期的なスタイルのいくつかは彼が生み出してきたことは誰でも知っている」と語る。

パラオはルイ・ヴィトンでアブローとタッグを組むことについて、特別に面白いチャレンジだと捉えている。

「ルイ・ヴィトンでは長年働いてきたが、バージルは私にとって新しいデザイナーで、彼のクリエーティブな過程に関われて非常にエキサイティングだ。新たな才能からクリエーティブな仕事に関わってほしいと依頼されることはいつでもとても嬉しい」「こうした新しいデザイナーがアイデンティティーを持つブランドの舵取りをするとき、そこに新しいものを持ち込むことになる。これは素晴らしいことだ」とパラオは語る。

スプリング・サマー2019=Courtesy Louis Vuitton
スプリング・サマー2019=Courtesy Louis Vuitton

ショーが近づく中で、パラオとアブローはブランドに対するデザイナーの考え方や、それをどのように髪で表現していくかについて議論をした。アブローはコンセプトやインスピレーションの原点を共有し、パラオがそこからヒントを得た。

「デザイナーと作業するとき、彼らはヘア業界の用語は使わない。もっと抽象的な言葉やコンセプトで会話をするだろうし、それを理解してヘアセットに落とし込んでいくのが私の仕事だ」

「私にとっては、それは髪を洗い、カットして、(モデルが)もっともよく見えるように仕上げていくことだ。この最もパワフルな男たちが持つキャラクターの中で」

パラオはまた、ディオール・オムにもその創造的なタッチをもたらしている。そこではルイ・ヴィトンでアーティスティック・ディレクターを務めたこともあるキム・ジョーンズが、同ブランドでのデビューを飾った。

ジョーンズは、ディオールの女性服のアーカイブから現代の男性向けのデザインを再解釈した。ブランドの特徴的なピンクのスーツや、デリケートなトワレのシャツを想像してほしい。その洗練された感覚に合うように、パラオはシンプルな方向を選び、統一された優雅さを醸し出すようにモデルの髪をブローした。以前も2人は共に働いたことがあり、パラオはこのデザイナーの言語や好みを理解していた。

ディオール・オムのスプリング・サマー2019=Courtesy Patrice Stable
ディオール・オムのスプリング・サマー2019=Courtesy Patrice Stable

「キムのことは彼のキャリアのスタートから知っている。でも、今は違うブランドで働いている。私は彼の感性にディオールらしさを与えたかった」と語るパラオは、ディオールで複数のシーズンにわたって既製品及びオートクチュールの女性向けウエアを手掛けている。

パラオの影響はショーのステージを越えた場所にも及んでいる。ヘアケア製品を扱うレッドケンでは、クリエーティブ・ディレクターとして新製品の開発やニューヨークにある同ブランドの学校でスタイリストのトレーニングに携わる。

「私がいつもサロンで働く人々に言っているのは、私は常に学んでいるということ。仕事をしているどの日も、髪について何か新しいことを学んでいる」

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