ストーンヘンジの祭壇石はどこから? 100年来の説を覆す新研究

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祭壇石の産地が現在の英ウェールズだったとする説を覆す内容となった/Nick Pearce/Aberystwyth University

祭壇石の産地が現在の英ウェールズだったとする説を覆す内容となった/Nick Pearce/Aberystwyth University

その結果、断片の中にあるジルコン、燐灰石、金紅石の存在が明らかになった。ジルコンの年代は10億~20億年前、燐灰石と金紅石の年代は4億5800万~4億7000万年前だった。

論文の筆頭著者でカーティン大学院生のアントニー・クラーク氏によれば、研究チームがこの分析結果をもとに、欧州各地の堆積(たいせき)物や岩石と照合したところ、スコットランド北東部のオルカディアン盆地にある旧赤色砂岩と呼ばれる堆積岩層と一致することが判明した。この岩石は、ウェールズ産の岩石とは完全に異なっていた。

「この発見は興味深い疑問を生じさせる。新石器時代の技術的制約を考えると、紀元前2600年ごろにこれほどの巨岩をどうやって長距離輸送したのか」とクラーク氏は問いかける。

巨岩の輸送

現在、祭壇石は地面の上で割れ、崩壊したグレートトリリトン(三石塔)の二つの石が上に乗った状態にある。三石塔は、2本の立石の上に1枚の横石を乗せた構造で、馬蹄形の配置の中に5基のトリリトンがある。しかしグレートトリリトンは夏至の軸線に沿って配置されていたことから、冬至には太陽が二つの石の間に沈むように見えていた。

しかし、祭壇石がかつて垂直に立てられていたのかどうかも、どんな目的で使われていたのかも分かっていない。

「この石は死者への証しで、新石器時代の人々が祖先をまつる儀式の一環として環状列石を建造したという説もある」とアベリストウィス大学のリチャード・ベビンズ名誉教授は解説する。

サウザンプトン大学のジョシュア・ポラード教授は、祭壇石が遺跡の中で最も神聖なはずの空間に横たわっていることに、多少の違和感があると話した。

巨大な祭壇石はどうやってソールズベリー平原に運ばれたのか。

当時の英国は森林などの険しい地形に覆われていて、陸路で巨岩を輸送するのはとてつもなく困難だった。だが海上ルートを使えば輸送できる可能性はある。

「あり得ないように思えるが、ストーンヘンジ自体があり得ないような遺跡だ」とポラード氏は指摘し、「この石は、ストーンヘンジの創作者たちの祖先にまつわる場所から持ち込まれたという見方が強まっている。言ってみれば、歴史的系譜の物語を一カ所に凝縮したようなものだ」と語った。

動物や物品、石などが輸送された事例はほかにもあり、新石器時代には貨物が船で輸送されていたことをうかがわせると研究チームは解説している。

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