オミクロン「BA.2」派生株、入院リスクは従来株とほぼ変わらず 新研究

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オミクロンの派生株「BA.2」のリスクに関するより詳細な研究結果が発表された/Allison Dinner/Bloomberg via Getty Images

オミクロンの派生株「BA.2」のリスクに関するより詳細な研究結果が発表された/Allison Dinner/Bloomberg via Getty Images

(CNN) 新型コロナウイルスの変異株オミクロンの一種で「BA.2」と呼ばれる新たな派生株について、現実世界での入院リスクは従来株の「BA.1」とほぼ変わらないとする新たな研究が発表された。これより前には、研究室内や動物を用いた実験からBA.2がBA.1より重い症状を引き起こす可能性があるとの研究結果が示されていた。

英国とデンマークで先に行われていた研究によれば、BA.2の感染力はBA.1よりも約3割強い。世界保健機関(WHO)は、現在世界で検出される新型コロナ感染のおよそ5分の1がBA.2だとしている。

感染件数は世界で減少傾向にあるが、BA.2が全体に占める割合は相対的に増えている。少なくとも43カ国ではBA.1以上に蔓延(まんえん)しており、新たな感染拡大の波に対する懸念が浮上している。

ただ今回新たに発表された研究から、BA.2で入院患者や死者の数が大幅に増える公算は小さいとの見通しが明らかになった。

新たな研究の1本目は南アフリカでのもの。同国では今月の1週間で、BA.2の新規感染に占める割合が27%から86%に急増した。ただ研究者らが9万5000人以上の陽性者を調べたところ、BA.2に感染したとみられる人の入院率は約3.6%と、BA.1感染の兆候が表れた人の入院率3.4%とほぼ同率だった。

高齢など重症化リスクに影響を及ぼし得る要因を考慮すると、研究者らはBA.1とBA.2の感染者の間に入院リスクの差は認められないとした。どちらに感染していても、入院する人に占めるワクチン接種済みの人の割合は4人に1人程度だったという。

筆頭研究者によると、第4波の後のBA.2出現で新たなピークは発生せず、尾が長引いている状況だという。第4波は「以前の波の間の時期より高いレベル」で長引いているものの、「年末の休日期間後の学校再開や、制限緩和が影響している可能性もある」としている。

南アでの感染者数は高止まりしているが、大半はBA.2による感染であり、入院患者は減少を続けている。

2本目の研究はデンマークの国家血清研究所が発表した。それによると、BA.1やデルタ株に感染して回復した人であってもBA.2に再感染する可能性はあるが、そうしたケースは見たところまれであり、大半はワクチン未接種者の間で起こる。症状も軽症の場合がほとんどだという。

現在デンマークで最も蔓延しているBA.2は、先月の第2週にBA.1の感染例を上回った。

再感染のリスクを調べるため、研究者らはオミクロン株が主流となった昨年11月下旬から今年2月中旬までのウイルスゲノムを解析。20~60日の期間内に2度の感染を経験した263人中、190人がBA.2に感染していたことを突き止めた。このうち140人はデルタ株に次いでBA.2に感染し、47人はBA.1に次いでBA.2に感染していたという。

後者をより詳しく分析すると、47人中30人は20歳以下の若年層。40歳以上は1人もおらず、47人中42人はワクチン未接種だった。

再感染時の症状は、28人が無症状か軽症だった。5人は中程度と分類される症状を経験したが、これはインフルエンザと同様のもの。入院患者や死者の報告はなかった。

カナダ・サスカチュワン大学のワクチン及び感染症機構に所属するウィルス学者、アンジェラ・ラスムセン氏は上記の研究から分かることとして「再感染は最近BA.1から回復した人の間で起こり得るが、かなり珍しい。またすべての事例で重症化はなかった」と述べた。同氏は当該の研究を検証したものの、研究自体には関与していない。

ラスムセン氏によればBA.2への再感染は一つのリスクではあるものの、人口全体で考えれば規模は小さく、ワクチンのブースター(追加)接種や最近のオミクロン株への感染が多くの場合で防御効果を発揮するという。

今回の2つの研究は医学誌に未発表であることを意味する「プレプリント」の状態でインターネット上に投稿されたもので、外部の専門家による査読もまだ済んでいない。

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