その言葉も?、日常の英語表現に見る人種差別的意味合い

人種差別的な意味合いを含む英語の日常表現に対して、使用を問題視する動きが出ている/Photo-Illustration: Getty Images/CNN

人種差別的な意味合いを含む英語の日常表現に対して、使用を問題視する動きが出ている/Photo-Illustration: Getty Images/CNN

(CNN) 単語や言い回しは社会のあらゆる側面に浸透している。

住宅業界では「マスターベッドルーム」、コンピューターの世界では「ブラックリスト」や「ホワイトリスト」の単語が使われる。日常表現としては「ソールド・ダウン・ザ・リバー(裏切られる)」という慣用句もある。

その多くはすっかり定着しているため、米国民は使用するかどうか改めて考えたりはしない。ただ、こうした言葉の中には奴隷制度の歴史に直接のルーツを持つものや、今になって黒人に関する人種差別的な考え方を想起させるようになったものもある。

米スミス大学のエリザベス・プライアー准教授(歴史学)は「『奴隷』や『主人』のような言葉は私たちの語彙(ごい)に深く組み込まれており、ほとんど無意識のうちに、米国における奴隷制や人種差別の歴史を物語っている」と指摘する。

だが、米国で構造的人種差別の見直しが進む今、私たちは自分たちの使う言語に対してより批判的な見方を迫られている。こうした言葉の多くに含まれる侮辱的な性質は以前から指摘されていたものの、一部の組織は今ようやく、使用中止に動き始めた。

以下では使用中止を検討する必要があるかもしれない、おなじみの単語や言い回しを挙げる。

不動産

マスターベッドルーム/マスターバスルーム:「マスターベッドルーム」は通常、家の中で最も大きな寝室を指す。専用のバスルームが付属していることも多い。

家の中で最も大きな寝室を意味する「マスターベッドルーム」/Shutterstock
家の中で最も大きな寝室を意味する「マスターベッドルーム」/Shutterstock

全米では、オンライン不動産検索サイトの「ジロー」に登録中の物件のうち、42%が寝室やバスルームを指して「マスター」という言葉を使っている。

不動産関連のブログによると、「マスターベッドルーム」という言い回しは1926年、百貨店シアーズのカタログに初めて登場した。これはカタログ内で最高額となる4398ドルのオランダコロニアル様式の住宅について使われたもので、専用バスルームが付いた2階の大型寝室を指していた。

表現のルーツが奴隷制プランテーションにあるのかは不明だが、こうした歴史を想起させる言葉なのは確かだ。

不動産業界では今、奴隷制の時代を暗に示す言葉であることを理由に、「マスター」という表現の廃止を呼び掛ける動きが一部に出ている。

コンピューター技術

ブラックリスト/ホワイトリスト:ITの世界では、ブラックリストはメールアドレスやIPアドレス、URLなど、ブロックの対象となる特定の要素のリストを指す。一方、ホワイトリストは許可される要素で構成される。

こうした用語は語源において人種と直接関連していたわけではないようだが、「黒は悪く、白は良い」という考え方を強化するものだと主張する向きもある。

グーグルによるオープンソースのブラウザー開発プロジェクト「クロミウム」と、「アンドロイド」のオープンソースプロジェクトでは、開発者に対して代わりに「ブロックリスト」と「アローリスト」という用語を使用するよう推奨している。

スポーツ

マスターズ・トーナメント:米男子プロゴルフツアーの4大メジャー大会のひとつ。普通は単に「マスターズ」と呼ばれる。

1934年からマスターズ・トーナメントが開催されているジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ/Ezra Shaw/Getty Images North America
1934年からマスターズ・トーナメントが開催されているジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ/Ezra Shaw/Getty Images North America

この名称の歴史は1934年にさかのぼる。ジョージア州では同年、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで初めて同トーナメントが開催された。大会の公式サイトによると、大会の共同創設者のひとり、クリフォード・ロバーツは「マスターズ・トーナメント」と呼びたい考えだったが、別の共同創設者は「思い上がり」が過ぎるとの懸念から、この案を拒絶した。

最終的には39年にロバーツの案が採用された。「マスターズ」の名称は熟練の技術を持つゴルファーに言及したものだが、人種差別的な含意を持つことから厳しい視線が注がれている。

法律

グランドファーザード・イン:この法律用語は、南北戦争後の再建期に南部諸州によって採用された「グランドファーザー条項」を広く指す。

同条項に基づき、1867年以前に投票権を持っていた人は全員、投票に必要な識字テストや財産上の要件、人頭税を免除された。だが、黒人奴隷が解放されたのは憲法修正第13条が可決された65年のことで、投票権は修正第15条が可決された70年まで付与されなかった。

/Buyenlarge/Archive Photos/Getty Images
/Buyenlarge/Archive Photos/Getty Images

グランドファーザー条項は事実上、黒人を投票から排除する結果になった。ブリタニカ百科事典によると、この慣行は1960年代まで続いたという。

現在、「グランドファーザード・イン」は個人や企業が新法の順守を免除されることを意味するが、グランドファーザー条項はもともと、米国の黒人から数十年にわたり投票権をはく奪していた。

日常表現

ソールド・ダウン・ザ・リバー:この言い回しは現在では手ひどい裏切り行為を表すが、言葉の由来となった歴史はそれ以上の困難をはらんでいる。

1800年代、黒人奴隷は文字どおり川を下って売却された。奴隷商人はミシシッピ川を移動して、さらに南方のプランテーション経営者に奴隷を売却。そこでは非人間的な環境と過酷な労働が待ち受けており、死に至ることも多かった。

家族と別れ、奴隷として売られていく黒人男性/Library of Congress
家族と別れ、奴隷として売られていく黒人男性/Library of Congress

ミシシッピ大学南部文化研究センターの調査プロジェクトによると、「このため『ソールド・ダウン・ザ・リバー』は悲惨な境遇で生活を始めることを意味するようになった」という。

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