(CNN) ウクライナ南部ヘルソン州ノバカホウカのダムが決壊したことによる洪水でロシア軍の兵士らが流され、ドニプロ川東岸から退避する様子をウクライナ軍が目撃した。同軍の将校が明らかにした。多くのロシア兵が混乱の中で死亡、負傷したという。
ウクライナ軍のアンドレイ・ピドリスニイ大尉によると、6日未明にダムが決壊した際、「ロシア側で逃げられた者は皆無だった。ロシア側の連隊は全員が洪水に巻き込まれた」という。
ピドリスニイ氏はCNNの取材に答え、ロシア軍が意図的にダムを攻撃したとの認識を表明。ウクライナ軍による今後の攻勢を混乱させるためだったとの考えを示した。
同氏によれば、ドニプロ川周辺の地勢から、東岸に位置していたロシア軍はダムの決壊で深刻な影響を被った。同氏の部隊は当時の状況をドローン(無人機)や現場の兵士らを通じて確認することができた。
「左岸(東岸)は右岸よりも低いので、より多くの水が流れ込んだ。川岸にあった敵の陣地も水にのまれた。敵の陣地とは塹壕(ざんごう)だけでなく普通の民家もあって、彼らはそこで寝泊まりしている」(ピドリスニイ氏)
危険な場所にいるロシア軍の部隊に対して警告はなかった可能性があると、ピドリスニイ氏は指摘。それによって意外性を維持しようとしたのかもしれないとした。
ウクライナ政府はピドリスニイ氏と同様、ロシアが意図的にダムを爆破したと主張する。一方クレムリン(ロシア大統領府)は、攻撃を実行したのはウクライナ軍だとの見方を示す。
実際のところ、両者の主張を結論付ける証拠はまだ出ていない。ただダム及びその決壊の動画分析、とりわけ衛星画像を使った検証は、決壊が構造上の破損の結果だった可能性を示唆する。ダムはロシア軍が昨年3月から占拠している。