離島防衛へ日本版海兵隊が発足 中国からは懸念の声

水陸機動団が公開訓練を行った=7日

2018.04.10 Tue posted at 12:50 JST

(CNN) 日本の自衛隊が離島侵略への対抗を想定した防衛部隊「水陸機動団」を発足させたことに対し、中国政府が懸念を強めている。

日中は東シナ海の離島の領有権を巡って長年争ってきた歴史があり、中でも無人島の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る対立は深まっている。

自衛隊は7日、佐世保近郊の駐屯地で「水陸機動団」を発足させた。この日は迷彩服姿の隊員およそ1500人が、侵略軍からの日本の島奪還を想定した公開演習を行った。

日本で海兵隊が創設されるのは第2次世界大戦以来。中国国営英字紙グローバル・タイムズは8日の論説で、「日本政府が領土の防衛を口実に、軍国主義の復活を目指そうとするのではないかとの疑念もある。近隣諸国はこれに対する警戒を続けなければならない」と論評した。

中国外務省報道官は9日、「歴史的な理由から」、アジアの近隣諸国は日本の軍事的な動向を注視していると述べた。

水陸機動団の創設は、3月下旬に小野寺五典防衛相が発表した。隊員は約2100人。記者会見で小野寺防衛相は同団の任務について、離島が侵略された際には直ちに上陸し、奪回して防衛すると説明した。

自衛隊のプレスリリースによると、同団は2つの水陸機動連隊で構成され、水陸両用車両を装備、米軍との合同演習を継続する。小野寺防衛相によれば、米国製の軍用機V22「オスプレイ」を使った演習も続行する。

日本では海上自衛隊も、ヘリコプター駆逐艦など水陸両用作戦のための艦船を装備している。ヘリコプター駆逐艦のうち4隻は、過去10年の間に就航した。

訓練には約1500人が参加した

こうした駆逐艦は小型空母のような外観で、垂直着陸が可能なステルス戦闘機「F35B」やオスプレイの収容が可能とされる。

ただ、自衛隊が新しい部隊を発足させ、装備を整えても、海兵隊が実効的な戦力となるには程遠い状況だと、日本戦略研究フォーラムのグラント・ニューシャム上級研究員は解説する。

作戦のためには海兵隊と空中および海上の部隊が連携する必要があると同氏は述べ、日本情報サイトへの寄稿の中で、「水陸両用作戦は複雑であり、海上、陸上、空中の3次元の作戦がかかわる」と解説。もしも他の部隊が上陸部隊の展開や援護ができなければ、作戦は遂行できないと指摘した。

中国政府は繰り返し、東シナ海で中国が領有権を主張する島が武力によって制圧された場合は、防衛する用意があると強調してきた。

新華社通信によると、尖閣諸島を巡って中国外務省報道官は3月31日、「中国は断固として領有権を守る。釣魚島を巡る中国の領有権を侵害しようとする一切の試みは無駄になるだろう」と発言した。

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