トランプ氏のツイートに「反ユダヤ的」の批判 騒動の経緯は?

問題となっているトランプ氏の投稿(左)。その後削除され、右のものに替わった

2016.07.06 Wed posted at 12:08 JST

(CNN) 米大統領選の共和党候補に確定している実業家ドナルド・トランプ氏が先週末、ツイッターに投稿した画像をめぐって、反ユダヤ的な内容だとする批判が集中し、トランプ陣営が対応に追われた。この騒動の経緯を振り返る。

問題の画像は民主党候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官の顔写真と並べて、ユダヤ教やユダヤ人を象徴する「ダビデの星」の意味を持つ六角星を配置し、そこへ「史上最も腐敗した候補者」という文字を書き込んだデザインだった。

このツイートに反ユダヤ的との批判が集中。画像は数時間で削除され、六角星は円の形に置き替えられた。トランプ氏の側近は4日、CNNの番組で「だれが投稿したのか分からない」「すでに修正した。反ユダヤの意図はなかった」と述べた。

トランプ陣営は当初、画像をめぐる質問への返答を拒否していたが、4日午後に初めて声明を発表した。

クリントン氏側がこの件に関する説明を求めたのに対し、声明は「ぬれぎぬ」だと主張。図案はダビデの星ではなく、保安官のバッジの形だと反論する内容だった。

ただ、この画像はツイッターに投稿される10日前から、反ユダヤ的な発言が飛び交う白人至上主義者らの掲示板サイトに載っていたことが確認されている。陣営の声明に、画像の出どころへの言及はなかった。

同日夜になって、トランプ陣営でソーシャルメディアへの対応を統括するダニエル・スカビーノ氏が声明を発表。「陣営が作った画像ではなく、反ユダヤサイトから持ってきたわけでもない。反ヒラリー派のツイッター・ユーザーが載せていた画像の中から取った」「保安官のバッジの形はマイクロソフトの『シェープ』で入手可能で、汚職のテーマに合うという理由で私が選んだ」と説明したうえで、「ソーシャルメディア担当として人の感情を害することは絶対に避けたいと考え、画像の削除を決めた」と述べた。

ドナルド・トランプ氏

しかし、米ユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」指導部のジョナサン・グリーンブラット氏は同日夜の声明で「トランプ陣営は責任のなすり合いをやめ、白人至上主義サイトから持ってきた反ユダヤ的な画像を投稿したと認めるべきだ」「トランプ氏はとうの昔に、陣営周辺をうろつく過激主義者をきっぱりと拒否し、反ユダヤ主義や偏見、憎悪を否定する立場を示すべきだった」と主張した。

グリーンブラット氏によれば、画像の問題は六角星だけではない。背景にたくさんの紙幣を描いたデザイン、そしてクリントン氏の「腐敗」を非難する言葉との組み合わせが、「ユダヤ人は金の亡者」「ユダヤ人が政治を支配している」といった固定観念を連想させるという。

トランプ氏と白人至上主義者とのつながりが指摘されたのは、これが初めてではない。党指名レースでトランプ人気の一端を担ったのは白人至上主義者だったし、同氏はネオナチの発言をリツイート(転載)して非難を浴びたこともある。

今年2月には白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元最高幹部、デービッド・デューク氏に支持を表明され、ただちに拒否しなかったことが問題視された。

4月には、トランプ氏の夫人について記事を書いたユダヤ系の女性記者が同氏の支持者らから差別的な嫌がらせや脅迫を受けたが、同氏は「何も知らない」と言い張り、支持者を制止しようとはしなかった。

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