住宅難解消の鍵は「マイクロ住宅」 貨物コンテナを家に転用

2014.03.10 Mon posted at 17:25 JST

(CNN) 海上貨物用のコンテナは長い間、世界の海運業で活躍しているが、英国南部ブライトン市では、そのコンテナが低コスト住宅としても提供され注目を集めている。

ホームレス問題などに取り組んでいる英ブライトン・ハウジング・トラスト(BHT)と不動産開発QED社は2013年12月、36個の海上貨物コンテナを改造。台所や風呂場を設置し、内壁に断熱材を張った上で、新たに賃貸に出した。

コンテナ住宅群は同市内の空地に建てられており、地元で年々増えつつあるホームレスの仮住まいとなる予定だという。

BHTの最高責任者アンディ・ウィンター氏はCNNの取材に答え、「ブライトンでは低所得層向けの住宅が慢性的に不足している」と指摘。「コンテナ内に人を収容するなんて、当初は懐疑的だったが、ふたを開けてみると、これらのコンテナは極めて高水準の住宅に変貌(へんぼう)していた」と話す。

海上貨物コンテナを住宅に改造する試みは、アムステルダムやロンドンで以前から実験的に行われてきた。ウィンター氏によれば、こうしたコンテナを住宅に改造するアイデアは、世界各地で起きている都市部での住宅難に対する解決策となる可能性があるという。

世界の大都市の多くは近年、賃貸料や不動産価格の高騰に見舞われてきた。原因として考えられるのは、住宅の供給不足や土地不足、硬直的な都市開発法の弊害などだ。

ノマド・マイクロ・ホームズ社の「マイクロ住宅」=同社から

英不動産ウェブサイト大手ライトムーブが発表したところによると、ロンドンの住宅価格は13年10月だけで前月比10%も上昇した。

高騰する住宅価格をめぐり懸念が強まる中、コンテナ改造住宅が手早く低コストの解決策になりえるのではないかと、ウィンター氏も期待を寄せる。

こうしたマイクロ住宅の原型は、近年、ドイツやスウェーデン、米国など各国で盛んに発案されてきた。小型の住宅を単体で提供する場合もあれば、集合住宅の丸ごと数区画にわたって使用する場合もある。

カナダのノマド・マイクロ・ホームズ社では、10フィート(約3メートル)四方の小型住宅を設計した。わずか2万5000米ドル(約250万円)で購入できる上に、その気になれば世界中どこにでも移動可能だ。

同社のイアン・ケント社長は「世界中からこの家を切望する声が届いている。あらかじめサイズが決まっているので、建てるにも維持運営するにも、何かと簡単だ。住宅問題解消に大きく寄与するはずだ」と自信を見せる。

ケント氏はさらに、発展途上国で急速に拡大する都市部において、マイクロ住宅を利用する可能性についても言及した。天災が襲った後の避難用仮設住宅としたり、大学キャンパスの一画にまとめて共同生活の場としたりするなど、様々な活用法が考えられるという。

住宅問題の救世主? コンテナを「住宅」に転用

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