最も重要な資源は水? 「水戦争」は起こるのか

2013.03.17 Sun posted at 18:10 JST

(CNN) 中東にある「死海」ほどの大量の水が消えてなくなることを想像してほしい。まるでSF映画のような話に聞こえるかもしれないが、そうではない。これは実際に起きている出来事で、そのことが分かったのも、つい最近だ。

米航空宇宙局(NASA)と米カリフォルニア大学アーバイン校が行った研究によれば、中東地域では真水が失われつつあるという。2003年から09年にかけて144立方キロメートルの水が失われた。

「水が失われる」ということはどういうことだろうか。水の多くは地表よりも下からやってきており、岩の間などに蓄えられている。干ばつの時期になると、井戸やポンプを作り、水を求めて穴を掘る。しかし、大地からの供給には限りがある。NASAの科学者によれば、水をくみ上げることは銀行の預金を取り崩すことに等しい。そして、その預金残高は減りつつある。

このことは深刻な事態を招くかもしれない。水を巡る争いの歴史は古い。米パシフィック・インスティテュート(TPI)によれば、こういった紛争は歴史上200回以上起きている。興味を引くのは、そのうちの約半分が過去20年の間に起こっているということだ。これからは水を巡って争いが繰り広げられる新しい時代が訪れるのだろうか。

NASAの研究が世界で最も不安定な地域の一つで行われたことを考えてほしい。中東とその地域での紛争は石油を巡るものだと考える傾向がある。もしかしたら、将来は水を巡るものに変わるかもしれない。

世界について語るとき、核を持つ国と持たない国という言い方をよくするが、水がある国とない国という世界のほうが、より一層危険かもしれない。

問題の一つは、世界の需要が変化していることだ。人口爆発を考えてほしい。1975年には40億人だった人口は、現在70億人に拡大した。国連の予測では2050年までに90億人に達するという。

インドや中国、アフリカ諸国では中間層が何百万人と増えており、あらゆる食料や製品に対する需要が世界的に増加している。そうした製品にはコストがかかるが、水に関しては豊富で無料だと別枠で考えたがる傾向がある。

しかし、水は最も懸念する必要がある資源だ。世界保健機関(WHO)によれば、7億8000万人以上の人々がきれいな水を手に入れられずにいる。そして、水不足によって300万人を超える人々が毎年死んでいる。需要が高まれば、水不足も拡大するだろう。

できることは何だろうか。水の大部分は実際のところ、浪費されている。米国は水を最も浪費している国の一つだ。シンガポールは既に、下水を飲むことの出来る上水へと再利用するための取り組みを進めている。大規模な海水淡水化を考慮する必要もあるだろう。

思い出さなければならないのは、消費される水の最大70%は農業で使われているということだ。より効率的な農作物についての基礎研究も必要だ。インドのある村では先ごろ、1ヘクタール当たりのコメの収穫量が世界最高を記録したと報じられた。どうやったのか。ただ苗を植える時期を変更したのだという。その結果、水の使用も抑えられた。

もしかしたら、最も単純で効果的なやり方は、水にある種の価格を設定することかもしれない。そうすれば、もっと効率的に、注意を払って使うようになるだろう。

毎年3月22日は「世界水の日」だ。世界の最も重要な資源を規制するための地球規模での取り組みについて考えをめぐらすのに良い時期だろう。

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