カナダ総選挙、自由党が勝利 カーニー首相「米国に屈しない」
カナダ総選挙、自由党カーニー首相が勝利宣言
(CNN) カナダの自由党を率いるカーニー首相は29日未明、前日に投開票された総選挙での同党の勝利を宣言した。選挙ではカナダを「51番目の州」として併合するというトランプ米大統領の脅しや関税措置への対応が焦点となり、カーニー氏は米国に決して屈しないと改めて表明した。
自由党は第一党を維持したものの、単独過半数には届かなかった模様。
カーニー氏は「米国はカナダの領土や資源を真剣に狙っている。これは単なる脅しではない。トランプ大統領はそのためにカナダ国民を分断しようとしている」などと指摘した。国民に対しては「カナダを祖国と呼ぶ人を代表する」ことを約束し、結束を呼びかけた。
野党・保守党のポワリエーブル党首は同日、敗北を認めた。自身も20年以上維持してきた議席を失った。同党はトランプ氏の大統領2期目が始まる前、支持率で自由党を20ポイント以上リードしていた。
トルドー前首相が辞任を表明した時点で、ポワリエーブル氏は有力な首相候補として考えられていた。だが、その後トランプ氏がカナダに関税を課し、併合をちらつかせたことで総選挙はトランプ氏に対する国民投票のような様相となった。
カナダ銀行(中央銀行)とイングランド銀行(英中央銀行)で総裁を務めた経歴を持つカーニー氏は、トルドー氏の辞任を受けて行われた党首選で大勝して以来、「反トランプ」を掲げてきた。
カーニー氏は首相に就任するまで政治家として役職に就いたことはないが、選挙戦を通じて金融業界での数十年にわたる経験をカナダのために生かすとアピールしてきた。
専門家らによると、多くのカナダ国民は米国との貿易戦争に対処するのにカーニー氏が適任だと考えているという。