トルコで反シリアの暴動、シリア人も反発 SNSがあおる不和
イスタンブール(CNN) トルコ中部のカイセリで、シリア人の男が少女を性的に暴行したとされる事件が発端となって暴動が起き、シリア人の商店や車が襲撃された。
トルコ国営アナトリア通信によると、シリア国籍の男が市場の公衆トイレで、やはりシリア国籍の7歳のいとこを性的に暴行した疑いで逮捕された。
このニュースがSNSで瞬く間に拡散し、地元住民の暴動に発展。車やシリア人の経営する商店などが放火された。
トルコのイェルリカヤ内相は、「この問題については直ちに捜査を開始した。だが、その後我々の市民がこの地域に集まって違法に行動し、シリア人の住宅、職場、車両に損害を与えた」と発表。数十人が拘束され、群衆は未明になってようやく解散したと述べている。
地元カイセリの首長は「落ち着いて、節度と常識ある行動を」と呼びかけた。
エルドアン大統領は、野党の一部強硬派がシリア人推定360万人の排除をめぐり「憎悪政策」をあおっているとして非難した。
エルドアン大統領自身、多数のシリア人が自主的にシリアへ帰国できる条件を整えると公約している。
大統領は1日の演説で、「外国人嫌悪や難民に対する憎しみをあおってはならない。そこから良い結果は何も生まれない」と強調した。
カイセリの暴動に対してシリア国内でも反発が巻き起こった。現在トルコ軍が統制しているシリア北西部のアタリブでは1日、住民らが駐留トルコ軍に抗議して装甲車に物を投げつけた。別の動画は、煙が上がって銃声が鳴り響く混乱状態をとらえている。CNNの取材に応じた地元住民は、軍がデモ隊を解散させる目的で発煙筒を使い、宙に向けて発砲したと訴えた。
シリア北西部の別の町でもデモ隊が軍の基地に掲げられていたトルコ国旗を引きずり下ろした。
地元住民やSNSに出回った写真によると、トルコに通じるバブアルサラマ国境検問所では、トルコ国旗が引きずり降ろされて燃やされ、自由シリア軍の旗に入れ替えられた。
シリア北部では1日、インターネットサービスプロバイダー数社がダウンした。
シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合」は、双方のシリア人に自制を促す声明を発表した。
トルコのイェルリカヤ内相は、自動化された投稿や挑発的投稿がSNSで不和をあおっているとして非難。カイセリの事件に関する投稿を共有したアカウントの3分の1以上は自動化されていると述べ、10アカウントについて検察に通報したことを明らかにした。
トルコは世界で最も多くのシリア難民を受け入れている。しかしシリア難民の社会的受け入れには苦慮しており、経済的苦情も相まって、シリア問題をめぐる政治的対立が深まった。
トルコ人から人種差別的扱いを受けたと訴えるシリア人も数多い。シリア人の子どもたちは、最初に登録された場所からの移転が認められず、学校に通うこともできずにいる。昨年トルコ南部を襲った大地震で多数が移転を強いられた後も、そうした状況は変わっていない。