転覆の船から油流出、黒く染まった海岸 カリブ海の島国で国家非常事態
(CNN) カリブ海の島国トリニダード・トバゴの沖合で船舶が転覆し、大量の油が流出して海岸に押し寄せている。同国のローリー首相は11日、「国家非常事態」と形容した。
災害対策当局によると、油の流出はトバゴ島南部の沖合で今月7日に発生。10日の時点でおよそ15キロの海岸線が黒く染まった。
現場からの写真によると、海岸は広大な範囲が油に覆われ、作業員が黒い塊をかき分けながら回収作業を行っている。1000人以上のボランティアを含めて複数の省庁が対応に当たっている。
ローリー首相は11日の記者会見で「状況は制御できていない」と述べ、流出を引き起こしたのがどこの船かもまだ特定できていないと説明。「これは国家非常事態であり、特別な経費として拠出しなければならない」「どんな対応が必要になるのかの全容は把握できていない」とした。
ビーチで油の除去を行う作業員ら=10日/Akash Boodan/AP
当局は油の流出拡散を防ぐため。海上に浮かべるブームを設置した。流出箇所をふさぐために潜水士も派遣されたが、まだ流出を食い止めることはできていないという。
このため船内の油を全て抽出する方法を検討しているが、船は竜骨しか見えていないために貨物船かタンカーかバージ船かも分からず、構造が把握できないという。
現地の住民は、悪臭が続いて健康被害が心配だと訴えており、当局は呼吸器疾患を持つ人にマスクの着用などを呼びかけた
トリニダード・トバゴは大勢の観光客でにぎわうカーニバルの季節の真っただ中にある。ローリー首相は「観光商品をこうしたものにさらすわけにはいかない。起きてしまった以上は封じ込めなければならない」と強調した。