抗生剤の新薬開発、耐性菌の増大に追いつかず WHO

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(CNN) 世界保健機関(WHO)は19日に発表した報告書で、複数の抗生剤に対して耐性を持つ耐性菌の脅威に対し、新薬の開発が追い付いていない現状に危機感を示した。耐性菌は新薬の開発をしのぐペースで増大する見通しだと予想している。

報告書によると、今年5月の時点で開発中の抗生剤は合計で51種、生物学的製剤は11種。生物学的製剤には、抗生剤の代わりに使って耐性菌の問題克服に役立てる狙いがあるという。

しかし開発中の抗生剤のうち、人の健康を脅かす可能性が大きいとしてWHOが優先的な対応を勧告した病原菌に照準を絞ったものは33種類にとどまる。

その33種類の中でも革新的な治療薬は8種類のみ。残る25種類は現在ある抗生剤に手を加えたもので、そうした薬剤に対しては病原菌がすぐに耐性を持つようになることが予想され、効いたとしても短期的な解決にしかならない。

WHOが今年優先的な対応を勧告した12種類の病原菌のうち、結核の耐性菌では世界で年間約25万人が死亡。アシネトバクターやシュードモナスや腸内細菌科といった耐性菌は、病院や介護施設での院内感染を引き起こしている。

結核の感染には少なくとも3種類の抗生剤を組み合わせて使う必要があるが、臨床試験の段階に入っている結核の新薬は7種類のみ。近いうちに、結核治療の選択肢を欠く深刻な状況に陥るとWHOは危惧する。重大な院内感染を引き起こして死者が出ることもあるグラム陰性菌も同じ状況にあるという。

低所得や中所得の国で必要とされる経口抗生剤の開発も少なすぎるとWHOは指摘する。

こうした問題に対応するため、WHOなどは抗生剤の研究開発に当たるグローバル機関を開設。感染予防対策や抗生剤使用ガイダンスの策定にも力を入れている。

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