中東歴訪のバイデン氏、トランプ氏の成果受け入れ イスラエル・サウジ関係強化へ
エルサレム(CNN) 中東歴訪を開始したバイデン米大統領は13日、イスラエルに到着した。これまでの外遊とは異なり、中東ではトランプ前大統領のレガシー(遺産)を受け入れる姿勢を示している。
バイデン氏は就任後1年半に行った外遊で、トランプ前大統領の外交政策を覆し、傷ついた同盟関係を強化することに注力してきた。だが、自身初となる今回の中東歴訪では、イスラエルと一部アラブ諸国の関係を正常化したトランプ氏時代の「アブラハム合意」を受け入れ、アラブ・イスラエル間の安保・経済関係強化を推進する方針だ。
バイデン氏は米東部時間午前8時すぎ、イスラエルの商業都市テルアビブに到着。歓迎式典で行った演説で、イスラエルと米国や他の中東諸国との関係を深化させることを誓った。
バイデン氏は演説で「我々は引き続きイスラエルの中東地域への統合を推し進め、生まれつつある議論の場や関与を拡大していく」と表明。平和と安定、関係の強化が中東のすべての人にとって重要になるとの認識を示した。
到着後、バイデン氏は防空システム「アイアンドーム」とレーザーを利用した次世代のシステム「アイアンビーム」について説明を受けた。その後には、エルサレムにあるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念館「ヤド・バシェム」を訪問した。
米当局者は今回の中東歴訪に先立ち、イスラエル・アラブ間の安全保障協力を強化し、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化に向けた合意を仲介しようと取り組んできた。
事情に詳しい関係者によると、サウジは今週、イスラエルを発着する民間便による領空使用や、大巡礼(ハッジ)に参加するイスラエルの少数派イスラム教徒がサウジ行き直行便を利用するのを認める方針を発表するとみられている。
バイデン氏はイスラエルからサウジまで直接空路で向かう見通しで、両国に「芽吹きつつある関係の小さな象徴」(バイデン氏)となりそうだ。