ニューヨーク市、市民権ない在住者80万人に選挙権付与へ

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米ニューヨーク市で合法的な在住者が自治体選挙に投票できる法案が可決する見込み/Spencer Platt/Getty Images

米ニューヨーク市で合法的な在住者が自治体選挙に投票できる法案が可決する見込み/Spencer Platt/Getty Images

(CNN) 米ニューヨーク市の市議会は9日、米国の市民権を持たない合法的な在住者に対し自治体選挙の選挙権を認める法案を可決する見込みだ。

この法案は、同市に30日以上在住し米国での合法的な永住権を持つ者に対し、市長や市政監督者、区長、市議会の選挙で投票を認める内容。グリーンカードの保持者や不法入国した若者を救済する制度「DACA」の適用者などが対象となる。

法案の主要な提出者である同市市議会のイダニス・ロドリゲス議員は、この法案は「代表なくして課税なし」の原則を守るものだと説明する。

ロドリゲス氏はドミニカ共和国からの移民で、1983~2000年にグリーンカード保持者として過ごした経験が法案成立を求める原動力になったと説明。「もし税金を払うなら、リーダーを選べるべきだ」と語った。

同氏の事務所によると、法案で80万人近い在住者に選挙権が与えられることになる。成立すれば来年1月1日に施行され、米国籍を持たない者に選挙権を拡大する自治体として全米最大となる。

法案は市議会で51票中35票の特別多数の賛成で可決される見通し。これは市長が拒否権を発動しても対抗できる票数となる。

一方、法案に批判的な人々もいる。同市ブロンクス区のルーベン・ディアス議員(民主党)は、法案は「危険で誤っている」とし、「私は移民の地域社会を全面的に支持するが、同時に我々の法令を尊重し、米国民として投票できる特権を大切に思っている」と声明で述べた。

ニューヨーク州の共和党は法案成立阻止のため、法的措置を含むあらゆる手立てを講じると発表した。

ニューヨーク大学のリチャード・ピルデス教授(憲法学)はCNNに対し、法案は自治体の選挙で誰に投票を認めるかを決定できる市の権限の範囲内にあると指摘。「憲法や法律の観点からは、対象者が誠実な同市の市民である限り、法案が憲法に違反することはない」との見方を示した。

ニューヨーク市のデブラシオ市長は先月後半の記者会見で、「市民権の価値について思うところもあり、また完全な市民になるように人々を促したい気持ちもある。多くの人々が完全な市民権を得られるのにしようとしない状況で、私にとっては問題と感じている」と発言。ただ、法案には拒否権を発動しないとも述べていた。

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