バイデン氏の対話集会、5つのポイント

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バイデン氏、「ドライブイン形式」の対話集会に出席

(CNN) 11月3日の米大統領選に民主党候補として臨むバイデン前副大統領は17日夜、ペンシルベニア州スクラントンでCNNの主催する対話集会に出席した。新型コロナウイルス感染予防の観点から「ドライブイン形式」で行われたイベントで、バイデン氏は共和党候補のトランプ氏の政策を批判。米国を一つにまとめることができるのは自分だと主張した。

対話集会は、両候補の最初の直接討論まで2週間を切ったタイミングで開かれた。会場ではバイデン氏とCNNの司会者アンダーソン・クーパーがステージに立ち、参加者は周りに駐車した各自の車からステージ近くのマイクに歩み寄って質問を行った。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、バイデン陣営が屋内での大規模集会を取りやめたことから、異例の「ドライブイン形式」の対話集会が実現した。

集会の中で、国内の治安や秩序に関するトランプ氏の主張をバイデン氏が一笑に付す場面もあった。トランプ氏は、バイデン氏が大統領に選ばれれば広範囲にわたる暴力と混乱が米国の路上で、とりわけ郊外で発生するだろうと述べている。

これに対しバイデン氏は、自分には国を一つにまとめる能力があると強調。「私は民主党の大統領になるのではない。米国の大統領になるのだ」と語った。

以下、集会でポイントとなった点を5つ挙げる。

敵はパークアベニュー

生まれ故郷のスクラントンで対話集会を開くにあたり、バイデン氏は有権者に対し新たな選択の構図を提示しようとした。簡略化されたその構図とは、スクラントンとニューヨーク・マンハッタンのパークアベニューを対比させるというものだ。前者は自らの労働の対価として賃金を得るブルーカラーの地元を、後者は他人の労働から利益を得る一握りの富裕層の拠点をそれぞれ象徴している。

バイデン氏は、この大統領選を「スクラントンとパークアベニューの戦いだと考えている」と強調。「パークアベニューにいるトランプ氏にはウォール街しか見えていない。株式市場のことで頭がいっぱいなのだ」と述べた。

これはトランプ氏の経済政策に対する攻撃だった。世論調査では高い支持を得ている領域だが、バイデン氏の見解では、トランプ氏の経済面での実績は富裕層に恩恵をもたらす一方、労働者階級のことを顧みるものではなかった。

「スクラントンの私の家の近所では、(株を保有している人は)そう多くなかった。医療従事者に賃金が確実に支払われるようにしなくてはならない。まともな賃金だ。時給15ドル? それでは十分とは言えない」(バイデン氏)

急進派に呼応せず

バイデン氏は民主党の予備選でより急進的なライバルたちを退けてきた。17日夜の対話集会でも、急進左派が優先課題とする政策のうち、採用することで同氏自身に政治的なダメージを及ぼしかねないものは受け入れに抵抗する姿勢を示した。

バイデン氏は天然ガスの採取に用いる水圧破砕法は禁止しないと述べた。天然ガスは接戦州であるペンシルベニア州やオハイオ州の主要産業となっている。

参加者から気候変動対策について質問を受けた際には、陣営で独自に採用する取り組みがあると説明し、急進左派が掲げる厳格な対策「グリーン・ニューディール」とは距離を置く姿勢を示した。

バー司法長官のコロナ関連発言を糾弾

バイデン氏は、バー司法長官がヒルズデール大学主催の憲法記念日の祝賀式典で、コロナウイルスを抑え込むロックダウン(都市封鎖)を歴史上、奴隷制を除く市民の自由の最大の侵害だと発言したことについて「言語道断だ」と述べた。

バー氏の発言を批判した他の民主党員に同調しながら、「何があなたたちの自由を奪うのかを示そう。子どもに会えなくなること、フットボールや野球の試合を見に行けなくなること、病院にいる父や母に会えなくなること、物事ができなくなること。これが我々の自由を奪うものだ」と続けた。

バイデン氏は、有権者の関心を引き続きトランプ氏のコロナ対応に向けさせることにも余念がなかった。この問題をめぐっては最近、著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏の新著で、ウイルスの脅威を認識しながら公の場ではそれを軽視するトランプ氏の言動が暴露されていた。

「現大統領はこのウイルスの対応に失敗した。彼は分っていた」「ウイルスの詳細を知っていた。明確に理解していたのだ」(バイデン氏)

対照的な人間性

集会でバイデン氏が最も痛烈にトランプ氏を非難したのは、戦死者を「侮辱」したとする報道に関してだった。米誌アトランティックが報じたところによると、トランプ氏は2018年、訪仏時に米国人の戦死者を「負け犬」「まぬけ」などと侮辱したという。

バイデン氏はトランプ氏の言葉に怒りがわいたとし、侮辱の対象には自分の息子のような人々も含まれているとの見解を示した。バイデン氏の息子でデラウェア州の司法長官を務めたボー・バイデン氏は、同州の州兵としてイラクに従軍した経歴を持つ。

ワクチンは「ファウチ氏を信頼」

新型コロナウイルスのワクチンが大統領選の投票日までに準備できる可能性を示唆するトランプ氏の主張にも、バイデン氏は改めて疑念を表明した。一方でこの件については、国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が具体的に示したスケジュールや手順の方を信頼すると述べた。

「ワクチンは、ファウチ氏が安全だと言えば接種するつもりだ。大統領ではなく、科学者の言うことを聞くべきだ」(バイデン氏)

トランプ陣営とその同調者らは、バイデン氏のこうした見解について、今後使用されるワクチンの信頼をおとしめていると批判する。これに対しバイデン氏は、何でも治す薬をすぐにも用意できると訴えることでトランプ氏が自らのコロナ対策の失敗をごまかそうとしていると指摘。それによって再選を果たすつもりなのだとの見方を示している。

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