新型コロナの死亡率、「米国は世界最良」とトランプ氏 事実と乖離

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FOXニュース司会者、トランプ氏を厳しく追及

ロンドン(CNN) トランプ米大統領は、FOXニュースのインタビューに答え、米国における新型コロナウイルスの死亡率が世界で最も低い水準にあるとの大胆な主張を展開した。

トランプ氏は19日、FOXニュースの番組に出演。司会のクリス・ウォレス氏に対し、米国での新型コロナの死亡率について「聞いたところによると世界でも最低水準にあり、おそらく最も低い」と語った。

続けて画面の外にいたマクナニー大統領報道官に声をかけて資料を受け取り、内容を確認したうえで「最低の死亡率だ」と繰り返した。さらにウォレス氏に向かって「フェイクニュース」を流していると攻撃。「世界最悪の死亡率と報じているが、実際は最良だ」と強調した。

だがトランプ氏の主張は事実と異なる。それどころか事実に近いものですらない。

米ジョンズ・ホプキンス大学のまとめたデータによれば、実際には米国は、新型コロナの死亡率が世界で最も高い国の1つだ。その数字は被害が大きいことで知られるブラジル、メキシコ、ロシアといった国々を上回る。

米国の人口10万人当たりの死者数は43人で世界8位。感染拡大が著しかった欧州諸国や南米チリよりは低いものの、その他の南米諸国やアジアの被害地域をしのぐ数字となっている。

ウォレス氏によれば、トランプ氏はこれとは若干異なる指標である「致命率」を示す資料も持ち出した。

これは単純に国内の新型コロナ死者数を確認された感染者の数で割ったもので、当該の国の検査状況で結果が大きく変動するため、被害の規模を測定するには問題の多いデータだとされている。

たとえば人口全体を対象に恒常的に検査を実施している国では非常に低い値が出る一方、体調を崩して入院している患者のみを検査対象とする国の場合は極めて高い値が示されることになる。

ただジョンズ・ホプキンス大学によると、上記の測定法でもなお、米国は世界の上位60位以内に位置しており、ブラジルやペルーと同水準となっている。つまりいかなる方法で測定しようと、米国の死亡率が「最良」だとするトランプ氏の主張は事実ではないということだ。

米国でのこれまでの新型コロナ感染者数は370万人以上。世界で最も多い14万人超が命を落としている。

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