「3人の親」から体外受精、米当局が実験の可否検討
(CNN) 遺伝性の疾患を防ぐ目的で3人の人物の遺伝子を使った体外受精技術が開発され、米食品医薬品局(FDA)が実験を承認するかどうかの検討を進めている。
この治療法は、遺伝性疾患の原因となるミトコンドリアが母親から胎児に受け継がれるのを防ぐ目的で開発された。母親の卵子または胚の核から採取した遺伝物質を、核DNAを除去したドナーの卵子または胚に移植する。この胚は、父と母の核DNA、およびドナーの胚の健康なミトコンドリアDNAを受け継ぐことになり、生まれた子どもは実質的に「3人の親」を持つことになる。
FDAは26日まで2日間にわたり、実験を行う場合の条件や胚の発達のモニタリング方法などについて聞き取り調査を行った。しかしまだ結論は出していない。
この技術は米ニューヨーク幹細胞財団とコロンビア大学の研究チームが開発した。同財団のスーザン・ソロモン局長は「遺伝子を操作するわけではなく、危険性はない。これは健康な子どもを持つための手段だ」と説明。40年も前から行われてきた体外受精の延長のようなものだと強調した。
英国では昨年6月、この技術の承認に向けた規制案の検討を開始した。同国では6500人に1人の割合で、重い心臓や肝臓などの疾患につながるミトコンドリア病を持つ子どもが生まれている。