南アフリカ第2の都市、ケープタウンの郊外に位置する緑豊かな海辺の町ヌールトフックに暖かく柔らかい朝日が流れ込み、フィリパ・ドミンゲスさんの庭を明るく照らす。
映画監督兼写真家のドミンゲスさんは、珍しい植物の写真を撮り、その写真を写真共有アプリ「インスタグラム」の自身のアカウント「checkmyplants」で公開することを使命としている。
ドミンゲスさんは、「私が特に好んで撮っているのは南アフリカ固有あるいは原産の多肉植物」と述べ、「一般家庭の庭や苗床にあるごく普通の植物ではなく、珍しい変わった種類の植物が好み」と付け加えた。
植物のコレクションに囲まれる映画監督兼写真家のフィリパ・ドミンゲスさん/Filipa Domingues
ドミンゲスさんが植物を集め始めたのは3年前だ。植物のコレクションを見に来た友人の勧めで自ら撮影した植物の写真をソーシャルメディアに投稿し始めたという。
「私の植物を見て!」
南アフリカには2万2000種以上の在来種の植物と世界の花を咲かせる植物の10%以上が生育しており、ケープタウン自体も地球上で最も多様な生物が生息する場所の1つだ。西ケープ州と東ケープ州の一部に位置するケープ植物区保護地域群は、2004年に初めてユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。
世界に6つある植物区系の中で最も小さなケープ植物区だが、ここで生育する植物の30%が世界の他の場所では見られない固有種だ。
アルギロデルマ・テアルティーの色鮮やかな花はドミンゲスさんのお気に入りのひとつだ/Filipa Domingues
ドミンゲスさんは最近、アルギロデルマ・テアルティーの写真を投稿した。アルギロデルマ・テアルティーは冬に育つ小さくて美しい多肉植物で、初冬に明るいパープルピンク色の花を咲かせる。この植物は非常に珍しく、西ケープ州北部クネルシュフラクタ地区にある1つの農園にしか生育していない。ドミンゲスさんはこの花を見るとイソギンチャクを思い出すため、特に魅力を感じているという。
撮影方法はシンプル
ドミンゲスさんの写真は魅力的だが、撮影方法はいたってシンプルで、必要なのは背景用の黒い布と自然光だけだという。そして、意外にもドミンゲスさんは大半の写真を自身の「iPhone(アイフォーン)」で撮影している。
ドミンゲスさんは、「私の写真が人々に刺激を与えられればうれしい」と述べ、さらに次のように続けた。
「人生で集中できることはいろいろあるが、自分が打ち込める物が見つかったら、それは素晴らしいことだ(中略)だから私は多くの人に、南アフリカ原産の多肉植物に注目し、興味を持ってもらいたいと考えている」