巴丢草の世界――中国の風刺漫画家がオーストラリアで生まれ変わるまで

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「検閲」は巴丢草氏がよく扱う主題のひとつだ

「検閲」は巴丢草氏がよく扱う主題のひとつだ

両親は息子が政治的になるのを望んでいなかった。祖父母は毛沢東の反右派闘争のさなかに収監され、父親はひとりで育ったという。「当局ともめることが絶対にない」仕事である歯医者か理容師になるよう促されていたが、人権派弁護士を志して法学部に。大学ではルームメートが入手した天安門事件の映画に深い影響を受けた。

2016年の天安門事件記念日には、戦車の前に男性がひとり立ちはだかる有名な場面をアデレード中心部で再現した。

豪州国籍を取得するなど母国との距離が離れていく中でも、巴丢草氏は中国国内での影響力を維持しようと腐心している。最新の作品展では、アフガン難民のアーティストらと共演。中国国旗から作った巨大な大気汚染用のマスクや、マットレスを4000本の鉛筆と入れ替えたベッドといった作品を寄せた。

このベッドは実際にオーストラリアに到着して以来寝ているもので、鉛筆は1本1本自ら削ったものだ。「最初はすべて同じだが、削っていくと、個性が出てきて、違いが生まれる」と語る。しかし、その後、ベッドの上に並べると、まるで個人が国の支配下に戻ったように、それぞれの鉛筆の個性は失われてしまう。

同氏のインスタレーションは漫画に基づくものだが、学芸員によれば、3次元にすることで印刷では必ずしも見えてこない複雑さが加わったという。

巴丢草氏もこの見方に同意し、「漫画の場合、誇張だと受け取られる可能性もある」「それを現実のオブジェにすることで、観客は現実に引き戻されることになる。これは冗談ではなく、現実の世界で起こっていることだ」と話した。

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