謎に包まれた砂漠のミイラ、DNA分析で意外な起源が判明 中国北西部

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乾燥した砂漠の風土の中で自然にミイラ化した青銅器時代の女性/Wenying Li, Xinjiang Institute of Cultural Relics and Archaeology

乾燥した砂漠の風土の中で自然にミイラ化した青銅器時代の女性/Wenying Li, Xinjiang Institute of Cultural Relics and Archaeology

研究者らが遺伝情報を調べたのはタリム盆地のミイラの中でも最古の部類で、その起源は3700~4100年前にさかのぼる。それと併せて、さらに北に位置するジュンガル盆地で見つかった5人分の遺体のゲノム解析も行った。こちらは4800~5000年前のもので、同地域の人間の遺体としては最も古い。

研究の結果、タリム盆地のミイラには同時期に生きていた他の集団と混合(子どもを作ることを意味する科学用語)した兆候が見られないことが分かった。ミイラの直接の祖先に当たる集団は、氷河時代には広範囲に存在していたものの、その末期の約1万年前までにほとんどが姿を消したという。

古代北ユーラシア人と呼ばれるこれらの人々は狩猟採集生活を送っていた集団で、現代人の遺伝情報にはごくわずかな痕跡しか残っていない。遺伝情報中の比率が最も高いのはシベリアや米州の先住民族だとされている。タリム盆地で上記の年代にさかのぼってその存在が確認されたのは予想外の発見だった。

一方、新疆のより北方で採取した遺伝子サンプルからは、青銅器時代に異なる集団が広範な混合を行っていた兆候が見つかった。このことからも、遺伝子的に孤立したタリム盆地のミイラの事例がいかに特筆すべきものかが分かる。

とはいえ彼らの起源については、まだ最終的な結論に至っていない公算が大きい。今回の研究対象は単一の墓地で見つかったミイラであり、タリム盆地の複数の墓地を広範囲に調べれば、別の遺伝子上のつながりを示唆する発見があるかもしれないからだ。

ワシントン大学で人類学を専攻するマイケル・フラケッティ教授は、この地域から太古の遺伝子サンプルが得られるのはまだ比較的まれなことであり、ヒマラヤやチベットからの遺伝的な影響が見つかる可能性があると言及した。

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