ヒマラヤ山脈、温暖化で広大な氷河が解ける恐れ 壊滅的影響も

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ヒマラヤ山脈の氷河が解けて流れ出す影響について、研究者らが新たな報告をまとめた/Paula Bronstein/Getty Images North America/Getty Images

ヒマラヤ山脈の氷河が解けて流れ出す影響について、研究者らが新たな報告をまとめた/Paula Bronstein/Getty Images North America/Getty Images

(CNN) 世界最高峰のエベレストやK2があるヒマラヤ山脈ヒンドゥークシュ地方の氷河は、たとえパリ協定に沿って温暖化ガスの排出量が削減されたとしても、21世紀末までに恐らく3分の1以上が解けてしまうと予想する報告書が、4日に発表された。

報告書で言及しているこれまでの調査によると、この地域の氷河の体積は21世紀の間に45%~90%縮小する可能性がある。

ヒンドゥークシュ地方は8カ国にまたがって2億4000万人が住み、同地で生産される食糧には30億人が依存している。

報告書によると、同地の氷河は1970年代から縮小を続けているが、縮小のペースが加速して洪水や地滑り、感染症の原因となり、大きな経済的打撃を生じさせている。地球温暖化の影響で積雪量が減り、永久凍土層も縮小した。

このまま対策を講じなければ壊滅的な結果をもたらすと報告書では警告。この地域の人口の約70%は農業を営んでいるが、温暖化の影響で生産できる食糧は減少が見込まれ、既に同地は深刻な食糧不安に見舞われているという。

水温の上昇は外来種の増殖を招き、洪水や干ばつによって食糧生産拠点が破壊される恐れもある。氷河が解ければ、ガンジス川、揚子江、メコン川、インダス川など農業や発電に使われている川にも被害が及ぶ。

いずれは気候変動が衝突のリスクを増大させ、政情不安の深刻化を招きかねない。

影響はこの地域にとどまらず、世界中で海面を上昇させる可能性もある。

今回の報告書は、国際総合山岳開発センター(ICIMOD)の研究者など200人あまりが、この地域の現状を知ってもらい、警鐘を鳴らす目的でまとめた。関係国に国境を越えた協力を促し、気候変動がもたらす壊滅的な事態を未然に防ぐために役立ててほしいとしている。

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