気候変動で危機に直面するコーヒー、スタバが取り組む解決策とは

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スターバックスは、温暖化が進むなかでも育つよう栽培されたアラビカの新種を開発している/Joshua Trujillo/Starbucks

スターバックスは、温暖化が進むなかでも育つよう栽培されたアラビカの新種を開発している/Joshua Trujillo/Starbucks

無論、コーヒーだけが気候変動の脅威にさらされているわけではない。干ばつ、霜、大雨はココアやブドウなど、さまざまな農産物の収穫高に打撃を与える。また異常気象は予想不可能なため、農家たちは気候変動に対する効果的な計画を立てづらい。

中でも、スターバックスが採用している唯一の品種であるアラビカコーヒーは危機的状況にある。

リーフラストとの戦い

米コーネル大学ダイソン応用経済・経営校の食品マーケティング教授ミゲル・ゴメス氏は、アラビカコーヒーについて、気候変動に強い品種を大至急開発する必要があると指摘する。

ゴメス氏によると、現在のアラビカ種は水分ストレスに弱く、異常な高温下で発生するリーフラストのような病気にかかりやすい傾向があるという。

一方、ロブスタ種やリベリカ種など、その他の品種は、アラビカ種よりも厳しい気象条件に対する耐性がある。しかしコーネル大学のゴメス教授によると、消費者はアラビカ種の味や香りを好むため、コーヒーメーカーは他の品種を避ける傾向にあるという。

コーヒー農家にとっては、リーフラストにかかりにくいコーヒーの木は魅力的な選択肢だろう。しかし、それだけで気候変動が引き起こす多くの問題が解決するわけではないと警告するのは、フェアトレード・インターナショナル(FI)のコーヒープログラム担当上級顧問モニカ・ファール氏だ。

特定の条件下で繁栄するために最適化された品種は、他の条件には弱い可能性もある。つまり、今うまく行っている解決策も長期的にうまく行くとは限らない。

ファール氏は、自然は実験科学よりも(環境の変化への)適応が早いとし、コーヒーを持続的に栽培できるようにするためには、工業化されたコーヒー農場モデルから脱却し、コーヒーをそのルーツである森に戻す必要があると主張する。

スターバックスも2021年に、気候変動対策の一環として、森林の保護・再生への投資を公約している。

コーヒーサプライチェーンの確保

スターバックスは最新の年次報告書で、高品質のアラビカコーヒー豆の調達コストが上昇しているか、供給が減少しているとし、そのようなサプライチェーン(供給網)のリスクが同社の事業や決算に悪影響を及ぼす恐れがあると述べている。

そしてコーヒー豆の価格や供給に影響を与える要因として、悪天候、水の供給減少、農作物の病気などを挙げている。

スターバックスは、気候に強い品種を独自に開発する前から、他の企業・組織によって開発された(スターバックスが微調整することもあった)気候変動に強い種子を農家に提供していた。

スターバックスは過去5年間、毎年300万個の種子を農家に提供してきたという。また同社は、25年までに計1億本の木を提供する目標を掲げており、その一環としてこれまでコーヒーリーフラストに耐性のある木、約7000万本を農家に提供してきた。

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