中国軍機、南シナ海でカナダ軍ヘリにフレア弾放出 カナダ海軍発表 CNN EXCLUSIVE

南シナ海を航行するカナダ海軍のフリゲート艦、HMCSオタワ/Royal Canadian Navy/Canadian Armed Forces

2023.11.04 Sat posted at 12:05 JST

HMCSオタワ艦上(CNN) 中国軍機1機が先月29日、南シナ海の国際水域上空を飛行中、カナダ軍のヘリコプターの前方でフレア弾を放出していたことが分かった。カナダ軍の将校らは、無謀な行動でありヘリコプターが墜落する可能性もあったと指摘している。

当該のヘリコプターが飛び立ったカナダ海軍のフリゲート艦、HMCSオタワに乗艦していた航空将校、ロブ・ミレン少佐はこの事案について、フレア弾がヘリコプターの回転翼やエンジンに向かってきたと説明。危険で基準外、プロ意識にも欠ける行動だとの認識を示した。

ミレン氏がオタワ艦上でCNNのインタビューに答えたところによれば、上記の事案は同日2度発生したカナダ軍ヘリと中国海軍J11戦闘機の接近の2件目だった。戦闘機はヘリから30メートルの距離にまで近づいたという。

カナダを初めとする各国は、中国機が固定翼機に向かって近づく事例は何度も目撃している。しかし、そうした行動がヘリコプターに対して取られるのは異例だと、ミレン氏は述べた。

2度の接近のうち1度目は、南シナ海北部のパラセル(中国名:西沙)諸島から約54キロの国際水域上空で発生。2度目の現場は同諸島から約37キロ離れた国際水域上空だった。オタワは当時、パラセル諸島の東160キロの海上で活動していた。

オタワ艦上の将校らによると、ヘリコプターはこの時、これより前に探知されていた潜水艦を捜索中だった。

加東部の港湾で試験飛行する軍用ヘリ、シコルスキーCH148サイクロン=2010年

1度目の接近の際、当該のヘリコプターを操縦していたミレン氏は、海上約900メートルの高さを水平飛行中に複数のJ11機が異常接近を行ったと説明。ヘリコプターの周囲を円を描くように飛び始めたと述べた。

距離を狭めてくる戦闘機が起こす乱気流を受け、ヘリコプターは危険な状況に陥ったという。最終的にミレン氏は自機を高度約60メートルまで降下させた。この高度ならヘリコプターは飛行できるものの高速飛行する戦闘機は操縦が非常に困難になるという。

ミレン氏によれば、カナダ軍の飛行士らはこの日のような異常接近の対処方法について訓練を受けている。今後も南シナ海の国際水域上空の飛行は継続する方針だという。

3日の定例記者会見で異常接近について質問を受けた中国外務省の報道官は、「言及された状況については関知してない」とした上で、「これまで何度も繰り返した通り、カナダ軍機が中国領空付近で行う偵察活動について、我々は断固とした姿勢で臨む」「カナダ側がその不適切な行為を止め、状況の一段の複雑化を避けてくれるのを期待する」と述べた。

CNNは中国国防部にコメントを求めている。

広大な南シナ海のほぼ全域を巡り、中国は歴史上の領有権があると主張。2014年以降は岩礁や砂州を埋め立てた人工島を建設し、軍事拠点化している。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。