香港/ソウル(CNN) ディズニーの最新作、実写版「リトル・マーメイド」が中国、韓国では不評を買っている。ヒロインのアリエル役に黒人を起用した配役への批判が目立つ。
中国では先月26日に公開されたが、最初の5日間の興行収入は1950万人民元(約3.8億円)。これに対して「スパイダーマン」シリーズの最新作「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」は、公開後5日間で1億4200万元(約27億円)に達した。
韓国では先月24日の公開以降の興収が440万ドル(約6.1億円)だった。観客動員数は最初の1週間で約47万2000人。「ワイルド・スピード」シリーズの最新作「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」の64万3000人を下回った。
両国とも、観客からは主演に黒人のハリー・ベイリーさんが選ばれたことを疑問視する声が上がった。
一方、米国内では黒人の少女たちがアリエルを自分に重ね合わせて歓迎し、公開から2回目の週末で全米ランキング2位に躍り出た。
実写版「リトル・マーメイド」に出演したハリー・ベイリーさん/IMDB
ただ映画データベース「IMDb」では、作品の順位を下げようと低評価のレビューを大量に書き込む「レビュー爆撃」を受けた。IMDbは先週、異常な投稿がみられるとして評価の集計方法を調整した。
米調査会社コムスコアによれば、これまでに全世界の興収は推定3億2700万ドル(約460億円)に達し、米国内がそのうち1億8600万ドルを占めている。世界第2位の映画市場である中国の割合はごくわずかだ。
中国のレビューサイト「ドウバン」での評価は10点満点中の5.1点。興行データ追跡サイトの「マオヤン」では、「私にとってリトルマーメイドは白人なのに」「幼い頃に聞いて育ったおとぎ話が見る影もない」と嘆く書き込みや、差別的なコメントが相次いだ。
韓国からも、インスタブラムに「#NotMyAriel」(私のアリエルではない)というハッシュタグとともに、映画が「台無し」だという投稿があった。
日本では9日の公開前から、アリエルがイメージと違うと批判する声が上がった。子ども時代の大事な思い出とアリエルのイメージを踏みにじらないで、と書き込むユーザーもいた。
中国紙の環球時報は公開前日、同作品が物議を醸しているとする論説を掲載。ディズニーは少数派を出演させる取り組みの一環としてベイリーさんを無理に起用したと主張し、「これは人種差別の問題ではなく、怠惰で無責任な策略」だと批判した。
しかし、ロブ・マーシャル監督はこれまで、ベイリーさんを選んだ理由は才能以外にないと断言してきた。米娯楽誌「ハリウッド・リポーター」との先月のインタビューでは、あらゆる民族に目を向け、「最高のアリエル」を見つけようとした結果で、非白人を起用する意図があったわけではないと強調した。
コムスコアによると、アジアのほかの国での興収はフィリピンが440万ドル、インドネシアが410万ドルと好調。
先週末の人気はイタリアでトップ、ドイツや英国、オーストラリア、ブラジル、メキシコで2位だった。シンガポールやフィンランド、アラブ首長国連邦(UAE)でも高い集客力を誇っている。
コムスコアの上級アナリストによれば、公開後2度目の週末の世界興収はディズニーの「美女と野獣」「マレフィセント」を超え、「シンデレラ」と並んだ。
実写版「リトル・マーメイド」に「レビュー爆撃」