(CNN) パキスタンを襲った史上最悪規模の洪水で、南東部シンド州にあるインダス文明の都市遺跡「モヘンジョダロ」が大きく損壊し、管理責任を負う州当局が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に支援を要請した。
シンド州の文化・観光・遺跡省はユネスコに、専門家2人の署名が入った書簡を送った。
この中で、自宅が流された被災者らの一時宿泊施設として同遺跡を使っていると報告。人道的見地から駐車場や店舗、博物館などでも避難住民を受け入れたと述べた。
洪水で壁が倒壊/Government of Sindh Cultural, Tourism and Antiquities
添付された遺跡の画像には、れんがの壁が倒壊し、地面が泥に覆われた光景が写っている。
現地のチームはポンプを導入し、れんがの構造物を修復し、排水路の土砂を排除するなどの応急措置を取ったとしているが、それで済む被害でないことは明らかだ。
専門家らは書簡の中で、モヘンジョダロが今後ユネスコの「危機遺産」に加えられる恐れもあると懸念を示し、全面的な修復には1億パキスタンルピー(約6400万円)が必要だと訴えた。
国連のグテーレス事務総長が先週パキスタンの被災地を視察した際、ユネスコは同国の歴史的建造物などに総額35万ドル(約5000万円)の緊急資金を投入すると表明した。この対象にはモヘンジョダロ以外の遺跡や博物館も含まれる。
シンド州当局はこれまでも、洪水がモヘンジョダロにとって重大なリスクとなる可能性を指摘していた。