(CNN) インドとパキスタンで豪雨による洪水の被害が広がり、両国でこれまでに353人の死亡が確認された。インフラが破壊されて捜索救助活動は難航し、犠牲者はさらに増える見通しだ。
これまでにインドで150人、パキスタンで203人の死亡が確認されたほか、834人が負傷した。洪水で孤立した地域ではさらに多くの死傷者が出ているとみられる。
インド北部ジャム・カシミール州の中心都市スリナガルでは多くの建物が倒壊し、屋上や高台に避難した住民が救助を待っている。
しかし橋や道路などのインフラも破壊され、陸軍は被災地に到達するため仮設橋の設置を急いでいる。引き続き多くの人が取り残されているスリナガルとカシミール地方南部での救助活動に力を入れる方針。
ジャム・カシミール州では9日までに携帯電話の基地局90カ所が復旧し、2万3530人がヘリコプターや船で救助された。軍はソーシャルメディアを使って救助を呼ぶよう呼びかけており、これまでに約7000通が送信されて多くが救助につながったという。
週末に現地を視察したモディ首相は直ちに「国家規模の災害」を宣言し、被災者の救援や豪雨で流された橋などの再建、通信網の復旧に全力を挙げると表明。やはり大きな被害が出ているパキスタンにも支援を提供すると申し出た。
インド気象庁によると、モンスーンによる大雨は今後も続く見通し。
隣国パキスタンでもここ数日で猛烈な雨が降り続いて主な河川が氾濫(はんらん)した。災害対策当局は、同国南部からシンド州にかけて洪水が広がっていると述べ、「まだピークはこれからだ。水位が上昇して浸水被害が予想され、状況は悪化する一方だ」と話した。
洪水がインダス川に沿って北部の山間部から南部の海岸に面した平地に広がる恐れもある。
北部地域では8日までに1万8227人が避難して、パンジャブ州の避難所に身を寄せた。軍はヘリコプターや船を使って1500人あまりを救助。被災地には空から食料などを投下している。
モンスーンの降雨量はこれまでのところ平年を下回っていた。ところがここ数日の豪雨でインド、パキスタン両国の河川が相次いで氾濫した。
インド・パキスタンで洪水被害