性行為教える「通過儀礼」、少女が実態語る マラウイ

マラウイには通過儀礼として子どもに性行為を教える地域があるという

2014.02.05 Wed posted at 15:29 JST

マラウイ・チラズル(CNN) アフリカ南東部のマラウイで、子どもたちに性行為を教える通過儀礼の慣習をやめさせようと、人権団体などが啓発活動を展開している。

同国南部のチラズルに住むグレースさんは10歳だった当時、「イニシエーションキャンプ」と呼ばれる通過儀礼キャンプに参加した。同地域ではこの年頃になったすべての少女がキャンプに参加することになっていて、「私たちは喜んで参加した。そこで何があるのか知らなかったから」とグレースさんは振り返る。

しかし到着してから聞かされた言葉に愕然とした。「男性と寝て、子どもの『あか』をはらい落とさなければならない。そうしなければ病気になる」

お手本として、1人の少女が横になり、年上の女性がその上に乗る様子も見せられた。「ダンスを踊って自分の上の男性を喜ばせなければならない」と言われ、性行為のやり方を教えられたという。

グレースさんの参加は家族も承諾しており、少女たちが人身売買されるわけでも、風俗産業で働くことを強要されるわけでもない。ただ同地で何世代にもわたって受け継がれてきた通過儀礼だった。

少年と少女は別々のキャンプに参加

少年と少女は別々のキャンプに参加し、地域社会に伝わる風習や、大人になることと性の問題について説明を受ける。

マラウイには多様な言語を話すさまざまな民族が住み、文化や制度は地域によって異なる。しかし、人権違反調査を担うマラウイ人権委員会によると、特に南部の一部の民族は、通過儀礼として結婚前の性行為を奨励しているという。

同委員会は、6歳の少女がキャンプに参加させられ、性行為の仕方を教えられているケースもあると報告。「幼い子どもたちの教育権、健康権、個人の自由と尊厳の権利など、多数の権利が侵害されている」と訴える。

米ジョンズホプキンス大学の調査団がまとめた2012年の報告書によれば、通過儀礼の一環として男性と性行為をさせられたと訴える少女もいたという。「この男性のせいでエイズウイルス(HIV)に感染したという少女もいる」「この性教育には何のメリットもない。少女たちを傷つけ、未成年の結婚をあおる一因になっている」と女性人権団体の担当者は憤る。

WHOによるとマラウイの未成年婚姻率は世界で10番目に高い

国の統計によると、15~49歳のHIV感染者及びエイズ患者は同国の人口の10%超を占める。WHOなどの統計によれば、18歳までに結婚する子どもは半数を占め、産婦の死亡率も高い。妊婦の35%は10代だという。

多くの少女がキャンプでの経験について沈黙する中で、今は15歳になったグレースさんは、国連財団の同行記者団に自身の体験を語った。

女性の権利団体などは各地域や民族の指導者に働きかけて、キャンプの内容を変えるよう説得する活動を続けている。グレースさんが住むチラズルでは、キャンプで性行為を教える課程が中止された。グレースさんは今、キャンプに参加した少女たちに、幼少時の性行為の危険性について語っている。

少女が語る「通過儀礼」 マラウイ

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