中国、吸入型ワクチンに緊急使用許可 世界初
(CNN) 吸入型の新型コロナウイルスワクチンが世界で初めて、中国で緊急使用許可を得た。開発した中国の製薬会社、カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股分公司)が4日に発表した。
ワクチンの名前は「コンビデシア・エア」。吸入器を使って口から投与する。中国の医薬品規制当局が、追加接種での緊急使用を許可した。
同社の注射型ワクチン「コンビデシア」はすでに中国で使われ、ほかの数カ国でも承認されている。
世界保健機関(WHO)のデータベースによると、吸入専用のワクチンで臨床試験の段階に達したのは、世界でコンビデシアともう1種類のみ。
カンシノによると、実際に供給が始まる前にまだいくつか規制関連の手続きが必要だという。中国では現在9種類のワクチンが承認されているため、同社は「厳しい競争」を覚悟しているという。
カンシノは報道発表の中で、コンビデシア・エアが体液と細胞、粘膜を通して強い免疫反応を誘導すると説明した。
その裏付けとなるデータは示さなかったが、同社が8月に報告した小規模な研究では、中国シノバック・バイオテック(科興控股生物化学)製のワクチン「コロナバック」を2回接種した後で追加接種にコンビデシアを使った場合、3回目もコロナバックを接種したケースに比べて抗体価が高くなったとされる。ただしこの研究では、吸入型で感染や人にうつすリスクをどの程度抑えられるかを調べていない。
注射型以外にスプレーや滴下、タブレットなどの方法で口や鼻から直接投与するワクチンは、粘膜上の抗体を増やすことでウイルスの侵入や拡散を防ぐ効果が期待され、世界で計十数種類の開発が進められている。