経済苦境のベネズエラ、「頭脳流出」が加速 1年で20万人

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首都カラカスのスーパーマーケットの前で食料品などを求めて列を作る人々

首都カラカスのスーパーマーケットの前で食料品などを求めて列を作る人々

ブエノスアイレス(CNNMoney) 経済苦境や政情混乱が続く南米ベネズエラを見限り、他国へ渡った同国国民は昨年1年間で約20万人に達したことが6日までにわかった。

1999年から2015年初期にかけての年間の平均人数の倍の水準になっているという。これらの数字は、首都カラカスにあるベネズエラ中央大学の移住問題専攻のトマス・パエス教授が割り出した。出国者の多数は学歴があり、技能を持つ国民としている。

同教授によると、反米左派路線を敷き、手厚い貧困層対策などを打ち出したチャベス前大統領が実権を掌握した1999年以降、ベネズエラから他国へ向かった国民は計約200万人。同国の総人口は現在約3000万人。

ベネズエラを見捨てる国民は増加基調にあり、米シンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」のデータもこれを裏付けている。昨年、米国に亡命を申請したベネズエラ国民は約170%増を記録。アルゼンチンではベネズエラ人による居住許可の申請件数が120%増を示した。スペインに流入したベネズエラ人移民は過去2年で倍増したという。

エネルギー資源に豊富なベネズエラは移民を歓迎する国として長く知られていたが、現在は大量の移住が発生する皮肉な状況に直面している。

チャベス氏の路線を引き継いだマドゥロ大統領率いるベネズエラ政府は自国民の移住動向に関するデータは公表していない。

同国の経済苦境の先行きに光明は見えておらず、大規模な食糧や医薬品不足に襲われている。凶悪犯罪の発生も目立ち、住民は夜には自宅にこもり、誘拐事件も多発している。国際通貨基金によると、今年の物価上昇率は1660%増に達する見通し。

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