北朝鮮が見せたくなかった写真――西側唯一のジャーナリストが見た風景とは

ガイドを務めてくれたコチャンホ氏(右)と一緒に。この写真は消去されなかった

ガイドを務めてくれたコチャンホ氏(右)と一緒に。この写真は消去されなかった

本当の挫折は、中朝国境を流れる豆満江を渡り中国に戻る直前に訪れた。国境で、保安要員の一団が私を呼び、カメラをチェックすることを求めた。

私の反対にもかかわらず、保安要員の1人が写真を1枚1枚消していった。私は彼の肩越しにどれを消しているのか見ようとしたが、彼は背中を向け続けたため、私には見ることが出来なかった。消去ボタンが押されるたび、不満が募った。私のガイドは、保安要員が「不適切な」写真を消していると言ったきりで、それ以上の説明はなかった。全部で90枚の写真がメモリーカードから消去された。

いらつきはしたが、驚きはしなかった。

香港に戻ると、私は、データの復活を専門にしているIT企業に連絡を取った。じりじりしながら24時間待った後、ついに写真が復活した。全ての写真が残っていた。

検閲を受けた写真を見ると、その選ばれ方に驚いた。消された写真には、みすぼらしい兵舎とともに怒った顔の保安要員や、パスポートをチェックする政府当局者が写っていた。これに関しては納得も出来た。しかし、他の写真は私の目には無害で、それどころか素晴らしい風景に見えた。トウモロコシ畑の横を並んで歩く老夫婦。家の中から手を振る地方の一家。眠った赤ちゃんを自転車の後ろに乗せて走る母親。国境近くの通関の建物の横にあるバレーボールコートの写真も消されていた。

これらの写真が、なぜ、北朝鮮のガイドラインにそぐわないのか、私には謎だ。もっとも、世界で最も孤立したこの国についていえば、多くのことが謎なのだが。

スウェーエデンのヨハン・ニランダー記者は、9月に開催された中国から北朝鮮へ抜ける自転車レースの報道のために西側のジャーナリストとして唯一招待された。

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