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アコヤ真珠、上質な真珠作りを目指す真珠養殖場の取り組み

日本の老舗ジュエラー「TASAKI」は、長崎県の九十九島で70年以上にわたり真珠養殖場を営んでおり、年間約100万個のアコヤ貝を養殖している。

アコヤ真珠の直径は平均7~8ミリで、他の真珠と比べるとやや小ぶりだが、その完全な円形と美しい光沢で、日本での人気は非常に高い。

TASAKIが均一な大きさ、形、色、光沢の真珠の生産できるのは、自社の養殖場で真珠の生産過程を厳しく管理しているためだ。

5つの真珠をあしらったリング/TASAKI
5つの真珠をあしらったリング/TASAKI

真珠の養殖は毎年2月、母貝を作るための人工採苗から始まる。発生した稚貝は、約3カ月間、水槽の中で飼育された後、海で定着生活に入る。

真珠養殖歴40年以上のベテランで養殖場のアドバイザーを務める山下正人氏によると、アコヤ貝はもともと海底に生息していたが、海底だと貝が汚れるため、現在は海底から離れた水面近くで育成するという。そのため貝を常にきれいに保つには多くの時間と手間がかかる、と山下氏は言う。

貝を育成する場所は、魚などの貝の天敵が少ない沿岸が好ましい。また九十九島近海は、アコヤ貝の餌であるプランクトンも豊富だ。

日本で真珠の養殖が始まったのは20世紀初頭だ。うどん店の長男として生まれた御木本幸吉氏が、自然界で真珠が作られる過程を模倣することにより養殖真珠を生み出した。

天然真珠は、砂や骨片といった異物が貝などの軟体動物の体内に入り込むことにより自然に生成される。軟体動物が分泌する真珠層(真珠母)が、体内に生成された物質を包み込む。そして軟体動物の殻の中でこの真珠層が硬い真珠を生成する。

御木本氏のアイデアは、成長過程のアコヤ貝に「核」を人工的に挿入するというものだった。当初は海女が海に潜って母貝を集め、その母貝に核を挿入した後、海底に戻していた。

貝が分泌する真珠層によって真珠が作られる
貝が分泌する真珠層によって真珠が作られる

御木本氏は1896年に自ら考案した真珠の養殖法の特許を取得した。現在、アコヤ貝は海底ではなく水面近くで養殖されているが、御木本氏の養殖法は今でも用いられている。

同業他社は母貝の育成に最高で2年を費やすが、TASAKIは、母貝は若い方が質のいい真珠を生み出すとの考えから、育成開始から約1年半後に核入れを行う。

挿核手術(核入れ)を行った母貝は「養生カゴ」に入れ、体力を回復するまで海中で休ませる。

養殖場での真珠の収穫は12月に行われ、1日がかりの作業となる。養殖したアコヤ貝も生き物であり、自然の気まぐれに左右されるため、収穫時には、養殖の成功を祝ったり、感謝や祈りが捧げられたりする。

山下さんは「真珠は生きている。海も生きている」と語る。風の日も雨の日も天候にかかわりなく貝が心地よい環境で幸せでいられるよう一生懸命作業すれば、とても美しい真珠が生み出されるという。

「私にとって、それが真珠文化の一番良いところであり、一番うれしい瞬間だ」

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