芝生の上に描かれた白い円の中で、思い思いにくつろぐグループ――。ニューヨーク市内の公園に現れた風景は、新型コロナウイルスが市民生活に与えた影響の大きさを物語っている。
ニューヨーク・ブルックリンの水辺に広がる「ドミノ・パーク」は2018年、製糖工場の跡地にオープンした私設の公園だ。2万平方メートルの面積に噴水やビーチバレーのコートなどが整備されている。
園内にはかつて存在した製糖工場をモチーフにした造形物も設置されている/Courtesy Domino Park/Daniel Levin
園内の芝生広場には感染予防のため、1.5メートル置きにたくさんの円が描かれている。週末には来園者がそれぞれの円の中で日光浴を楽しんでいた。
全米各地で経済再開に向けた動きが進むなか、ニューヨーク州では10の地域がそれぞれ、医療体制などの基準を満たした場合、4段階に分けて再開範囲を拡大することになっている。
ドミノ・パークはブルックリンのウィリアムズバーグ地区に位置する/Credit: Johannes Eisele/AFP/Getty Images
ニューヨーク市はまだ基準の一部しか満たしていない。現在も不要不急の外出を控え、家から出る時はマスクを着用するとの指示が出たままだ。デブラシオ市長は来月前半のうちに再開の第1段階に入れるとの見通しを示す。
新型ウイルスの影響で、世界の街の風景は大きく様変わりした。公共のベンチやスポーツ器具にテープが張られ、店のカウンターにはプラスチック板が立っている。レストランはテーブルの数を減らし、道路には臨時の自転車レーンが設けられた。
新型ウイルス感染の収束とともに消える対策もあれば、将来まで残る変化もあるだろう。ドミノ・パークの白い円がいつまで続くかは分からないが、「対人距離を置いて」というメッセージだけははっきりしている。