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スペインの洞窟で見つかった6000年前のサンダル、欧州最古の靴

スペインの洞窟で見つかったサンダルが欧州で発見された靴のうち最古のものであることがわかった

スペインの洞窟で見つかったサンダルが欧州で発見された靴のうち最古のものであることがわかった/Martínez-Sevillaet al.,Sci. Adv

(CNN) 先月27日に科学誌「サイエンス・アドバンシス」に掲載された研究結果によると、新たな分析によって、これまでに欧州で発見された靴のうち最古のものが特定された。

スペインのバルセロナ自治大学とアルカラ大学の研究者らが主導した研究では、放射性炭素年代測定法による分析の結果、繊維で編んだサンダル22点が6000年前のものであることが判明した。

この古代の履物が、中石器時代のかごやその他の道具とともに初めて発見されたのは、スペイン南部の洞窟が鉱山労働者によって略奪された1857年。だが1970年代にこれら遺物の年代が初めて測定された時は、今回の最新分析よりも約1000年新しいものだと特定された。

研究者らによれば、非常に乾燥した洞窟内は腐敗しやすい物質を保存するのに理想的で、部分的にミイラ化した死体やかご、木製の道具、サンダル、その他の品物を備えた先史時代の埋葬地を保存することが可能だったという。

洞窟で一緒に見つかったかご/Martínez-Sevillaet al.,Sci. Adv
洞窟で一緒に見つかったかご/Martínez-Sevillaet al.,Sci. Adv

研究著者の一人であるマリア・エレーロ・オタル氏は声明で、これらの遺物は「これまでに知られている南欧の植物繊維素材としては最も古く、最も保存状態が良い」として、「先史時代の共同体がこうした職人技を習得していたことを示している」と述べた。

また報告書によると、スペインの考古学者マヌエル・デ・ゴンゴラ・イ・マルティネス氏が略奪から10年後の1867年にこの洞窟を訪れた際、サンダルを含む残りの遺物を収集し、マドリードとグラナダの博物館にこれらを寄贈したという。それ以来、研究者らが遺物の研究を進めてきた。

サンダルは草だけでなく、革、ライム、天然繊維の一種であるラミーの靭皮(じんぴ)などで作られていた。

この研究ではゴンゴラ氏が提供した記述を基に、遺体はサンダルを履いたまま埋葬されたとの仮説を立てている。

サンダルの中には明らかに履いた形跡があるものと、一度も履かれていないと思われるものもあり、埋葬用に特製された衣服を持っていた人々がいることを示唆している。

研究では、収集品のかごの一部やその他の木製の遺物も調査した。研究者らは、これらの遺物は「欧州における完新世前期から中期の人々の複雑性について画期的な展望を開くもの」であり、過去の社会に関する知識の大半は、かごのような傷みやすいものではなく、耐久性のある遺物から得ていると付け加えた。完新世は1万1700年前に始まり現在まで続く地質年代を指す。

これらのかごやサンダルから、作り手がその土地の植物資源について幅広い知識と高度な専門技術を持っていたことが示唆されると研究者らは指摘している。

研究著者の一人、フランシスコ・マルティネス・セビリア氏は声明で、「かご細工の品質や技術の複雑性は、南欧で農業が始まる前の人間社会に対する我々のあまりにも単純な仮定に疑問を投げかけるものだ」と述べた。

これらの遺物が完新世前期と中期の全く異なる二つの時期にこの場所に堆積(たいせき)していたことも判明した。研究者らによると、第1段階は完新世前期の狩猟採集民、第2段階は完新世中期の農民に関連したものだという。

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