(CNN) イスラエルの死海沿岸付近にある洞窟で、考古学者のチームが古代ローマ時代の剣4本と、ピルムと呼ばれる柄付きの武器1本を発見した。
イスラエル考古学庁の6日の声明によると、これらの珍しい武器はエン・ゲディ自然保護区で見つかった。木や革でできた鞘(さや)に収められていたという。
ピルム(上)と剣のうちの1本/Dafna Gazit/Israel Antiquities Authority
研究チームは「剣が1本見つかるのもまれなのに、4本も? 夢のようだ。信じられない気持ちで目をこすった」と述べている。
考古学の論文集に6日発表された研究報告の著者らによると、見つかった武器はおそらく、ユダヤ人の反乱勢力がローマ軍から奪取したものだという。
最初の証拠(ピルムと後に鞘と判明する加工された木片)は、崖の上の人里離れた洞窟で発見された。考古学者らが鍾乳石にインクで書かれた断片的な碑文を調べていたところ、偶然見つかった。
剣のうちの1本を手にする考古学者ら/Amir Ganor/Israel Antiquities Authority
さらなる調査の結果、「洞窟の上部のほぼ到達不可能な割れ目」から剣4本が出土したという。
「極めて保存状態の良い」こうした剣と一緒に、革や木、金属の破片も見つかった。剣のうち3本は木製の鞘に覆われた鉄の刃を持ち、長さは60~65センチ。4本目は長さ45センチだった。
エイタン・クライン氏(中央左)ら4人/Yoli Schwartz/Israel Antiquities Authority
「エン・ゲディ北郊の孤立した洞窟奥深くの割れ目に剣とピルムが隠されていた事実は、これらの武器がローマ兵もしくは戦場から戦利品として奪取され、再利用のためユダヤ人によって意図的に隠されていたことを示唆する」。こう話すのはユダヤ砂漠調査プロジェクトのディレクター、エイタン・クライン氏だ。
「明らかに、反乱勢力はこうした武器を所持しているところをローマ当局に見つかりたくなかった。洞窟やそこに隠された武器を調べる我々の研究は始まったばかりだ。剣を所有していたのは誰か、いつ、どこで、誰によって作られたのかを突き止めたい」(クライン氏)
声明によると、追加の発掘調査の結果、紀元132~35年の「バル・コクバ」青銅貨も見つかっており、これをもとに剣の年代を特定できる可能性があるという。「第2次ユダヤ戦争」とも呼ばれる当時の「バル・コクバの乱」では、ユダヤ人がローマ支配に抗議して反乱を起こした。
「歴史上の特定の時期に関する刺激的な発見だ。誰もが知っているわけではないが、ユダヤ砂漠の乾燥した気候のおかげで、国内の他の場所では残っていない遺物の保存が可能になっている」。イスラエル考古学庁の長官は声明でそう指摘し、「これはユニークなタイムカプセルだ。巻物の断片やユダヤ人反乱の時代の貨幣、革の履物が見つかり、そして今回は鞘に入った剣まで見つかった。それも今日隠したばかりのような鋭利な状態で」と述べている。