Arts

3000年前の黄金仮面、中国南西部の遺跡から出土 

CHINE NOUVELLE/SIPA/Shutterstock

中国南西部で発見された複数の祭祀(さいし)坑から出土した数百点の遺物の中から、3000年以上前の黄金の仮面が見つかったことがわかった。中国・四川省文物局が明らかにした。

これらの遺物は、成都郊外にある面積約12平方キロメートルの三星堆(さんせいたい)遺跡で発掘された。1920年代に地元の農民が偶然この遺跡を発見して以来、これまでに何千点もの遺物が出土している。

黄金の仮面は今年6月に発見され、9月に入って初公開された。国営新華社通信によると、仮面の重さは約100グラムで、単体ではなく青銅人頭像の一部であったとみられるという。この仮面は、紀元前1046年まで続いた殷(いん)王朝後期のものと考えられている。

三星堆遺跡で発見された青銅の像/VCG/Getty Images
三星堆遺跡で発見された青銅の像/VCG/Getty Images

中国の国営メディアによると、仮面はここ数カ月の間に祭祀坑から出土した約500点の遺物の一つで、このほかにも象牙、翡翠(ひすい)のナイフ、「尊」として知られる儀式用の器、青銅の置物などが見つかった。

考古学者は1980年代半ば、三星堆遺跡で大きな発見をした。祭祀坑が2基見つかり、精巧で保存状態の良い青銅の仮面を含む1000点以上の遺物が出土したのだ。

発掘調査は長い間中断されていたが、2019年後半に3基目の祭祀坑が見つかり、20年にはさらに5基発見された。当局は今年3月、これらの祭祀坑から出土した500点を超える遺物を公開。その中には別の黄金の仮面やフクロウの形をした青銅器が含まれていた。

遺跡で発掘作業を行う考古学者/CHINE NOUVELLE/SIPA/Shutterstock
遺跡で発掘作業を行う考古学者/CHINE NOUVELLE/SIPA/Shutterstock

遺物の多くは埋納される前に儀式として焼かれたように見受けられることから、専門家はこれらの祭祀坑が生贄(いけにえ)用に使われたと見ている。

三星堆遺跡は、紀元前316年に征服されるまで四川盆地西部を支配していた古蜀(しょく)の中心に位置していたと考えられている。蜀は、伝統的に中国文明発祥の地とされる黄河流域の他の社会とは別に、独自の文化を形成していたことが遺跡の出土品からうかがえる。祭祀坑からは絹繊維や織物の切れ端も見つかっている。

四川省文物考古研究院の唐飛院長は新華社通信に対し、「今回の発見により、古代中国人の想像力と創造性が現代人の予想をはるかに超えていたことが改めて証明された」と述べた。

遺跡から発掘された青銅の仮面/CHINE NOUVELLE/SIPA/Shutterstock
遺跡から発掘された青銅の仮面/CHINE NOUVELLE/SIPA/Shutterstock

この遺跡から発掘された出土品の多くは、敷地内にある博物館で展示されているが、発見された祭祀坑のうち2基の発掘作業は現在も継続中だ。

三星堆遺跡はユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産には登録されていないが、将来の世界遺産候補として「暫定リスト」に記載されている。ユネスコは、同遺跡がほかの蜀の遺跡とともに、「中国、東アジア、さらには世界の青銅器文明を代表する傑出した遺跡」と説明している。

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]