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環境芸術家のクリストさん死去 夫婦で梱包アート、世界中に制作

亡くなった環境芸術家のクリストさん

亡くなった環境芸術家のクリストさん/Tim P. Whitby/Getty Images/Serpentine Galleries

歴史的建造物などを布で梱包(こんぽう)する作品で有名な環境芸術家のクリストさんが31日、米ニューヨークの自宅で死去した。84歳だった。公式ツイッターに訃報が掲載された。

本名はクリスト・ウラジミロフ・ヤバチェフさん。亡き妻のジャンヌ=クロードさんとともに、「クリスト&ジャンヌ=クロード」の名で活動を続けてきた。

2人はフランス・パリの「ポン・ヌフの梱包」(1985年)、ドイツ・ベルリンの「梱包されたライヒスターク」(1995年)、米ニューヨークのセントラルパークに制作した日本の鳥居を思い起こさせるオレンジ色のゲートなど、建造物や名所を布で包んだ作品で知られる。

妻のジャンヌ=クロードさんは、脳動脈瘤(りゅう)のため2009年に亡くなっていた。

  
      
環境芸術家クリストさんの作品を振り返る

妻の死後、クリストさんは夫婦の構想を完成させる活動に身をささげた。2016年に実現させたイタリア・イセオ湖の「フローティング・ピアーズ」は、2人が1970年に構想を描いたプロジェクト。16日間にわたり、湖上にポリエチレンのキューブ22万個で支える黄金の道を出現させ、最初の5日間だけで27万人あまりが訪れた。

2018年には英ロンドンのサーペンタイン湖に浮かぶ「ロンドン・マスタバ」を制作。次はパリで2021年9月に、世界有数の有名な戦没者記念碑、凱旋門を包むプロジェクトを披露する予定だった。このプロジェクトについてクリストさんは今年5月、CNNのインタビューで、「許可が下りたことが信じられない。あっけにとられた」と語っていた。

このプロジェクトは遂行される見通しだ。発表によると、「クリスト&ジャンヌ=クロードは、自分たちの死後も進行中の芸術作品が継続されることを常にはっきりさせてきた。凱旋門の梱包(パリのプロジェクト)は、引き続き2021年9月18日~10月3日に予定されている」

クリストさん(右)とジャンヌ=クロードさん=1976年/Wolfgang Volz
クリストさん(右)とジャンヌ=クロードさん=1976年/Wolfgang Volz

クリストさんとジャンヌ=クロードさんは、2人とも1935年6月13日生まれ。クリストさんはブルガリア、ジャンヌ=クロードさんはモロッコの出身で、1958年にパリで出会った。クリストさんはこの当時から、家具やドラム缶などの物体を布で包む作品を手掛けており、1961年から2人で共同制作を開始。長年クリストさんの名前のみを使っていたが、1994年になって過去の多くの作品に共同制作者としてジャンヌ=クロードさんの名を追加した。

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