巨匠レオナルド・ダビンチの名画「モナリザ」にそっくりな女性を描いた裸婦像は、ダビンチ本人の作品なのか――。フランスの研究チームが、その謎を解く手がかりとなる調査結果を明らかにした。
注目の作品は「モナ・ヴァンナ(『裸のモナリザ』の意味)」と呼ばれる木炭画で、フランス北部にあるコンデ美術館が所蔵する。これまでは、ダビンチの弟子が制作したものと思われていた。
しかしフランス美術館研究修復センターの専門家チームが詳しく調べた結果、作品はダビンチのスタジオで完成されたもので、ダビンチ本人の作品だった可能性があるとの結論を出した。
調査の結果、作品の大部分は左利きの画家が描いていたことが判明。ダビンチは左利きだったことから、ダビンチ説が濃厚になった。
さらに、ダビンチが好んだ輪郭をぼかして描く「スフマート」の技法が使われていることも分かり、作品は複製ではなかったと判断した。
コンデ美術館のキュレーター、マチュー・デルディク氏は、「大部分をレオナルドが描いた可能性が非常に強い」と述べ、「偉大な画家による非常に質の高い作品」と評価、「油絵の準備のための作品だったことはほぼ間違いない」と話している。
ただし専門家チームは、この作品がダビンチ本人の作品だと断定するには至っておらず、絶対的な確証を持つことはできないかもしれないとしている。
モナ・ヴァンナは今年6月、コンデ美術館がダビンチの没後500年を記念して開く特別展で展示される。