Architecture

ベトナムで「都市の中の都市」の野心的な計画

緑に囲まれた新しい「都市の中の都市」を建設する計画が発表された

緑に囲まれた新しい「都市の中の都市」を建設する計画が発表された/Foster + Partners

英建築事務所大手のひとつが、ベトナムで緑に囲まれた新しい「都市の中の都市」を建設する計画を発表した。

英国の建築設計事務所フォスター・アンド・パートナーズによると、広さ290エーカー(約1.17平方キロ)のこの新しい地区は、ベトナム最大の都市ホーチミン市内の長い並木や緑の周りに建設されるという。

「ザ・グローバルシティー」と呼ばれるこのプロジェクトには、学校、ショッピングモール、医療施設に加え、高・低層の居住用ビル、公営住宅、別荘も含まれる。2本の水路に挟まれたこのコミュニティーは5つの異なるエリアで構成され、各エリアは中央公園や並木道、さらにいくつもの歩道橋でつながっている。

フォスター・アンド・パートナーズのシニアパートナー、トビー・ブラント氏によると、同社はこのプロジェクトの全体的なマスタープランを引き継いだが、「エリア間を行き来できる歩行者専用道路を増やしつつ、都市と自然との一体化を促進する」という任務を担っているという。

同じくこの地区の開発に取り組んでいる不動産開発会社マステライズ・ホームズによると、同プロジェクトは4年以内に完成予定だという。

住居ユニットのイメージ図/Courtesy of Masterise Homes
住居ユニットのイメージ図/Courtesy of Masterise Homes

フォスター・アンド・パートナーズのスタジオ責任者ジェラルド・エベンデン氏はプレスリリースの中で、計画に盛り込まれている公園、中庭、庭園といった緑地の数の多さを強調した。

エベンデン氏は「この設計の目的は、生物多様性と人間の幸福を両立させることにある」とし、これは「将来に向けての全体的かつ持続可能なマスタープラン」だと述べた。
プレスリリースによると、同地区は、建材にれんがや木材を使用するなど、かつて「サイゴン」という名で知られたホーチミン市の建築の伝統を参考に設計されているという。ベトナムの南東に位置するホーチミン市は、サイゴンオペラハウスのようなフランス植民地時代の歴史的建造物から、近代的なコンクリート製のアパートや、ハスの花をモチーフにしたビテクスコ・フィナンシャルタワーのような現代的な高層ビルまで、幅広い建築様式で知られている。

また英国の著名な建築家ノーマン・フォスター氏が設立したフォスター・アンド・パートナーズは、ニューヨークのハースト・タワーや「ガーキン(ピクルス用の小さいキュウリ)」の愛称で知られるロンドンの30セント・メリー・アクスといった人目を引く建築プロジェクトで知られる。

フォスター・アンド・パートナーズは近年、未来的なマスタープランをいくつか作成しており、「ザ・グローバルシティー」もそのひとつだ。現在、同事務所のチームは、都市部の活性化や、人口密度の高い都市における持続可能な新しいコミュニティーの創設を目的としたさまざまな計画プロジェクトに取り組んでいる。同事務所が提案したスウェーデンの首都ストックホルム中心部スルッセン地区の再開発は2025年までに完了する予定だ。また推定28万人が居住可能なクウェートの広大な新都市サウス・サバ・アル・アフマドも40年のオープンを予定している。

同事務所の建築士らは現在、ベトナム北部ハノイ市郊外にある2棟の高層ビルから成るビエティンバンク・ビジネスセンターの建設プロジェクトにも取り組んでいる。

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