OPINION

バイデン氏は人を侮辱しない大統領 初会見で語ったこと

バイデン大統領は最初の記者会見で力強く一貫したパフォーマンスを披露した/Chip Somodevilla/Getty Images North America/Getty Images

バイデン大統領は最初の記者会見で力強く一貫したパフォーマンスを披露した/Chip Somodevilla/Getty Images North America/Getty Images

(CNN) 誰であれ、バイデン米大統領が25日に行った就任後最初の公式記者会見が失言と虚偽の連発になるだろうと期待していた人は大いに落胆しているに違いない。有能で筋の通った、目的意識の強い大統領を求める米国民は安心してよい。

フリーダ・ギティス氏
フリーダ・ギティス氏

バイデン氏はこれまで避けてきた質問に答えることで話題を提供した。つまり2期目に関する質問だ(同氏は78歳である)。記者団に対し、「計画の上では、2024年に再選を目指す」と明言した。もう一つの話題はパンデミック(世界的大流行)についてで、新型コロナウイルスのワクチン接種回数を、就任後の100日間で1億回とした当初の目標から2億回に引き上げた。

およそ1時間余りにわたって、バイデン氏は記者から厳しい質問を受け、目立った誤りや言い間違いを全く犯すことなく乗り切った。自らの政権を力強く擁護し、深く、細やかな理解で広範な問題と向き合っていることを示した。結果を出すために必要な政策も明らかにした。

「私が選ばれたのは問題を解決するためだ」。同氏は冒頭からそう宣言し、ここまで国の喫緊の課題であるパンデミックと経済に注力してきた理由を説いた。その一方で、現在対処の準備を進めている長期的課題として銃規制、移民、気候変動、選挙権に言及した。

実際には、こういった方面の危機は順番を守らない。バイデン氏が最優先課題への取り組みを完了するまで待ってくれるなどということはない。同氏が対峙(たいじ)したこの日の記者たちもそうだった。

それでも、米国の国境の危機から中国問題まで、連邦予算から世界を舞台にした民主主義と独裁主義の争いまで、バイデン氏は安易な回答を避け、問題の複雑さをはっきりと認めつつ、合理的な対処法を示していた。すべてを解決すると約束はしなかったものの、改善は果たすと明言した。

最も厳しい質問のいくつかは、南部の国境で起きている移民の急増に集中した。そこでは同伴者のいない子どもたちが過密状態の中で手続きを待っている。こうした事態を受け入れられるのかと問われたとき、バイデン氏はほとんど気分を害した様子で守勢に回り、政権として施設の再建に尽力していると強調。これらの施設は前任の大統領によって取り除かれていたとの見解を示した。

ただ、子どもたちを国境の向こうへ送り返していないことに関して、謝罪の言葉は口にしなかった。「考えてみてほしい…同伴者のいない子どもが国境にたどり着いているのに、我々は彼を餓死させ、向こう側に留め置くのか」「私はそんなことはしない」(バイデン氏)

実に思いやりのこもった態度で、それこそ過去のどの大統領からも聞いた記憶がないような言葉で(前任者とはあまりにも対照的だ)、バイデン氏は移民の両親がどれほどつらい決断を下しているかを描写した。彼らは我が子をたった一人で数千キロの旅へと送り出さなくてはならない。どんな運命が待ち受けているかもわからないまま。「ここまで追い詰められてしまうとは」「それほどひどい状況だということにほかならない」(バイデン氏)

バイデン氏によれば、こうした人々は地震や洪水、食糧不足、犯罪組織の暴力を理由に自国を後にする。同氏の掲げる計画では、中米におけるこれらの問題への対処を支援する。そのための資金が腐敗した各国の政府にわたらないような措置も確実に講じる。

バイデン氏はフィリバスター(議事妨害)規則に関しての興味深い見方を示した。この規則により上院では60票の賛成がなければ重要法案が通らないため、バイデン氏の立法上の目標達成は難しくなっている。かつての方式に立ち戻りたいとの考えを述べたバイデン氏は、自身が上院議員になった「120年前」にはそのような方式が実施されていたと冗談を言った。当時、法案を通さないようにするには議員が議場で可能な限り演説を長引かせる必要があった。フィリバスターが人種差別的なジム・クロウ法時代の遺物だと思うかと問われると、バイデン氏はそう思うと答える一方、政治の世界で何が可能かを理解しているとも述べた。そのうえでなお、当該の規則は「とてつもないやり方で乱用されている」と指摘。撤廃に前向きな姿勢を見せた。

バイデン氏は最も情熱的な部類の言葉を用いて共和党による選挙権制限の取り組みを攻撃した。25日にジョージア州の下院を通過した法案はその一環だ。同氏はこうした取り組みを「米国らしくない」「うんざりする」と形容。共和党の有権者でさえ「卑劣な」措置だと考えていると指摘し、これを覆すためにあらゆる権限を行使すると約束した。

バイデン氏はまた、ここへきて突然財政赤字の規模に対する懸念を表明した共和党の偽善を非難。富裕層に多大な恩恵をもたらした巨額の減税については何の不安も口にしていなかったと指摘した。「連邦予算が人々の命を救うときに彼らは難色を示す」が、「最も裕福な米国民の懐を肥やすときには」反対しないと述べた。

外交政策に関して、バイデン氏は現行の中国、さらにはロシアとの間の不和をより大きな課題の一部だと説明。つまり民主主義と独裁主義の争いの一環だと主張した。米中関係においては多面的な対立が存在するとし、貿易は両国が折り合えない領域の一つに過ぎないと述べた。トランプ前大統領は米中の通商争いに強迫的なまでに傾倒していた。

同盟国との関係の再構築は、バイデン氏の政策方針の中で重要な要素となるだろう。とりわけトランプ氏の下であまりにも多くの長年にわたる戦略的連携が傷つけられてきた状況ではそうだ(腕時計に目をやりながら、バイデン氏は記者団に対し、この後27カ国の首脳とのオンライン会議に臨まなくてはならないと告げた)。

バイデン氏は、米国が世界のリーダーであることを心の底から受け入れると表明している。25日には民主主義国の首脳会談を米国で開催する計画に改めて言及。「未来を話し合う」場にすると語った。

バイデン氏による大統領就任後初の記者会見は、前任者からの衝撃的な決別のみにとどまらなかった。同氏は決して他人を侮辱せず、自画自賛せず、内容のある、首尾一貫した言葉で語った。どこを取っても、力強いパフォーマンスだった。誰であれ会見を視聴した人は、バイデン氏が認知機能に問題を抱えているとの右派メディアのばかげた中傷が明白な虚偽であるとわかっただろう。

多くの米国民はバイデン氏の仕事の内容を支持し、この国がよくなるのを願っている。彼らにとって今回の会見は、最も喜ばしく、安心感を得られる60分間だった。

フリーダ・ギティス氏は世界情勢を扱うコラムニストでCNNのほか、米紙ワシントン・ポストやワールド・ポリティクス・レビューにも寄稿している。記事における意見や見解は全てギティス氏個人のものです。

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