性別変更の手術要件、生殖能力なくす手術は「違憲」 最高裁

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性的少数者を支持するパレードに参加し、東京都心を練り歩く人々=2018年5月撮影/Tomohiro Ohsumi/Getty Images

性的少数者を支持するパレードに参加し、東京都心を練り歩く人々=2018年5月撮影/Tomohiro Ohsumi/Getty Images

東京(CNN) 最高裁大法廷は25日、トランスジェンダーの人々に対し、戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を受けることを義務付ける現行の規定を違憲とする決定を下した。

20年前に制定された法律では、トランスジェンダーの人々が戸籍上の性別変更を望む場合、性同一性障害と診断されること、変更後の性別に似た外観の性器を備えていること、生殖能力を持たないことなどを要件として定めている。このため戸籍上の性別を変更するには、身体への侵襲を伴う事実上の性別適合手術を受けなくてはならなくなる。

NHKによると今回の申し立てを行った当事者は、数年にわたるホルモン治療で既に生殖能力には影響が出ていると主張していた。

最高裁は、上記の要件のうち生殖能力について定めた規定を違憲と判断。身体への侵襲を受けない自由を制約することの必要性は法律が制定された当時に比べて一段と低減した一方、制限の度合いはより深刻になったとし、当該の要件には必要性や合理性が認められないと指摘した。

また、生殖権は憲法の下での基本的人権とみなされるとも説明。戸籍上の性別変更を行う場合に生殖能力を望まない形で失わなくてはならないとする現行の仕組みは、当事者に過酷な二者択一を強いていると付け加えた。

NHKによれば法律の規定を最高裁が違憲と判断するのは戦後12例目で、国会は法律の見直しを迫られることになる。

一方で最高裁は、性器の外観について定めた規定については判断せず、審理を高裁に差し戻した。

最高裁の決定を受け、性的少数者のコミュニティーからは歓迎する声が上がったが、残りの要件に対する判断や社会全般の反応に関する懸念も浮上している。

今回申し立てた当事者の代理人弁護士は会見を開き、「予想外の結果で大変驚いています」「大法廷でも性別変更がかなわず、先延ばしになってしまったことは非常に残念です」とする当事者のコメントを読み上げた。

当事者はさらにコメントで「今回の結果が良い方向に結びつくきっかけになるとうれしいです」と述べている。

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