駐仏中国大使、旧ソ連国の主権を疑問視する発言 欧州で怒りの声

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中国の盧沙野・駐仏大使/Benoit Tessier/Reuters/File

中国の盧沙野・駐仏大使/Benoit Tessier/Reuters/File

香港(CNN) 中国の盧沙野・駐仏大使が旧ソ連を構成していた共和国の主権を疑問視する発言を行い、欧州諸国が中国当局に説明を求める事態になっている。今回の発言は、ロシアとウクライナの仲介役として見られようとする中国の努力を損なう可能性がある。

盧氏はテレビインタビューで、旧ソ連国は「国際法上有効な地位」を持たないと発言。これに対し、バルト3国を始めとする国で驚きが広がっている。

リトアニアのランズベルギス外相は24日、リトアニアとラトビア、エストニアは中国の代表者を呼んで説明を求める方針だと確認した。

ウクライナやモルドバ、フランス、欧州連合(EU)などの当局者からも、盧氏の発言に対する批判の声が上がった。

盧氏の発言は、ロシアによって2014年に違法併合されたクリミア半島はウクライナの一部かとの質問に答えたもの。

盧氏はまず、クリミアの件は「この問題をどう捉えるかによる」と述べ、クリミアは「最初はロシア」で、その後「ソ連時代にウクライナに譲渡された」と指摘。そのうえで「これらの旧ソ連諸国でさえ国際法上有効な地位を有していない。主権国家としての地位を具体化する国際合意がなかったからだ」との見解を示した。

盧氏の発言は、1991年のソ連崩壊後に独立し、国連に加盟した国の主権を否定したものとみられる。ウクライナは自国の一部であるべきとのプーチン大統領の認識に基づき、ロシアがウクライナに侵攻する中での発言ともなっている。

在仏中国大使館はその後、盧氏の発言は「政策を述べたものではなく、個人的見解の表明」だと説明。24日の声明で「領土主権に関する中国側の立場は一貫しており、明確だ。中国側はすべての国の主権と独立、領土の一体性を尊重し、国連憲章の目的と原則を支持する」と述べた。

さらに「中国はソ連崩壊後、当該各国と最も早く外交関係を樹立した国の一つだ。中国は相互尊重と平等の原則に従い、常にこれらの国と二国間の友好関係や協力関係を構築しようと試みてきた。中国はソ連崩壊後に誕生した共和国の主権国家としての地位を尊重する」としている。

中国はこれまでロシアのウクライナ侵攻を非難せず、ロシア軍の撤退も要求していない。「全当事者の自制」を要請し、北大西洋条約機構(NATO)が紛争をあおっていると非難しているほか、引き続きロシアとの外交、経済上の関係を深化させている。

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