豪、グレートバリアリーフ近くの炭鉱計画を却下 「不可逆的な損傷」のリスク

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グレートバリアリーフでは気候変動の影響で大量白化現象が発生している/Gagliardi Giovanni/REDA&CO/Universal Images Group/Getty Images

グレートバリアリーフでは気候変動の影響で大量白化現象が発生している/Gagliardi Giovanni/REDA&CO/Universal Images Group/Getty Images

(CNN) オーストラリア政府は8日、同国のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」近くで露天炭鉱を新たに開発する提案を却下した。サンゴが「不可逆的な損傷」を被るリスクがあるとして、環境関連の法令を行使している。

当該の炭鉱計画を提案したのは同国の実業家、クライブ・パーマー氏。開発が予定されているのはクイーンズランド州沖のグレートバリアリーフから10キロ足らずの地点で、ブリスベンの北西約700キロに位置する。

プリバセック環境・水資源相は昨年の時点で計画の却下を示唆していたが、8日に正式決定した形だ。同相によれば、環境相が自身の権限を行使し、環境に関する法令の下で鉱山計画を却下するのは初めてだという。

却下に当たり、プリバースク氏はサンゴの環境に危険を及ぼす可能性が相当高い点に言及した。グレートバリアリーフは既に、気候変動による重大な脅威にさらされている。

「汚染や不可逆的な損傷がサンゴに及ぶリスクは極めて現実的だ。計画は当該地域の淡水に受け入れがたい影響をもたらすだろう。脆弱(ぜいじゃく)な海草藻場も打撃を受けかねない」と、同氏はソーシャルメディアに投稿した動画の中で述べた。

一般からの意見を募集した期間、環境省には10営業日で9000件のコメントが寄せられたという。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)からサンゴ保護の圧力を受けるオーストラリア政府は昨年、脆弱な生態系を守る取り組みに10億豪ドル(現在のレートで約910億円)を拠出すると約束した。これには気候変動への適応策や、水質保全プログラムなどが含まれる。

ただオーストラリアは依然として化石燃料との結びつきが極めて強く、各国の気候変動対策を追跡する研究団体によれば、このまま行くと産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標は達成できない見通しだという。

パーマー氏が所有する石炭企業にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

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