欧州到着後、姿消した子どもの移民は1日約47人 調査報告書

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パリ市内に作られた即席の難民キャンプ=2019年/Christophe Archambault/AFP/Getty Images

パリ市内に作られた即席の難民キャンプ=2019年/Christophe Archambault/AFP/Getty Images

(CNN) 欧州の記者やメディアが加わる調査報道企画は5日までに、域外から保護者の付き添いがなく欧州に到着後、姿を消した子どもの移民は過去3年で少なくとも5万1433人に達し、1日あたり約47人が行方不明になっているとする新たな報告書を公表した。

同企画「ロスト・イン・ヨーロッパ」は非営利事業で、欧州内で消息を絶った子どもの移民問題を追った。実際の不明者はより多いとし、この問題に関する記録収集が不十分で、一部の国はデータ作成にも一切着手していない現状に触れた。

同企画は欧州31カ国に情報提供を要請。調査の対象期間は2021年から23年末までで、行方不明と判断された子どものデータを求めた。回答を寄せたのは20カ国で、うち7カ国は関連データがないと説明。11カ国は返答しなかった。

21年のデータに基づく調査によると、18年1月から20年12月にかけて欧州に到着後、消息不明となった子どもは少なくとも1万8000人だった。

これら子どもの人数で最多だった国はイタリアとオーストリアで、それぞれ2万2899人と2万77人。ベルギー、ドイツやスイスなどが続いていた。

ただ、イタリアやオーストリアの人数は必ずしもより多い事例の発生をうかがわせていないわけではないともし、正確さを増した関連データの収集が必要との注文もつけた。

これら子どもの行く先については多くの見方がある。人身売買や性産業の落とし穴にはまったか、たどり着いた国の当局の施策を信用できなかったり、安全対策が十分でない環境を嫌ったりして自ら逃げた可能性もあるという。

親族や友人との再会を望んで保護場所を離れた可能性もある。

ベルギーのゲント大学の22年調査によると、欧州への移住を試みる過程で子どもの84%が物理的な暴力を受けたと報告。暴力を目撃したとしたのは90%を超えていた。

国連によると、紛争などが理由で居住先を追われた世界全体での住民の約4割は子どもとなっている。戦闘などからの逃避で家族との離散を強いられた子どもも多いとみられる。

欧州に逃げた後に消息がわからなくなったこれら子どもの出身国ではアフガニスタンが最多だった。21〜23年にかけては3人のうちの少なくとも1人だった。アフガンの子どもの到着は、同国でイスラム主義勢力「タリバン」が21年8月に実権を再度掌握した以降に増えてもいた。

ロスト・イン・ヨーロッパによると、この他、シリア、チュニジア、エジプトやモロッコからの子どもが目立ったという。

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